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政府が「コメは不足」と主張を180度転換 石破総理は「コメ増産に舵を切る」と方針表明 備蓄米も売れず…価格も再び上昇【news23】

経済
2025-08-06 11:25

農業政策の歴史的転換です。これまで「コメは足りている」としていた政府ですが、5日、「コメは不足している」と主張を180度転換しました。さらに石破総理は「コメの増産に舵を切る」との方針を表明しました。


【画像を見る】「コメは足りている」が誤りであると認めた政府 石破総理と小泉大臣は…


政府がコメの増産へ転換 小泉大臣「判断を見誤ってしまった」要因は?

スーパーの棚からコメが消えた2024年8月から1年。
8月5日午後4時半ごろ、関係閣僚会議で、政府が“コメ政策の転換”を発表しました。


石破茂 総理
「『コメを作るな』ではなく、生産性向上に取り組む農業者の皆様が、増産に前向きに取り組める支援に転換します」


これまで一貫して「コメは足りている」と主張してきた政府。今回初めて「誤り」だと認めたのです。


石破総理
「生産量が足りていると判断していたこと。備蓄米の放出のタイミングや方法などが適切でなかったこと。こうしたことが価格高騰を招いてしまったと考えざるを得ません」


小泉農水大臣も、コメが不足した要因について…


小泉進次郎 農水大臣
「人口減少などに伴って、需要は減り続けるだろうと、そこの判断を見誤ってしまった


「需要の見通し」と「需要実績」を見ると、2024年と2023年は、実際の需要が大幅に上回ったことがわかります。


【コメの需要】(農林水産省より)
▼2023年(令和5年産)
需要見通し:682万トン、需要実績705万トン
→需要が23万トン上回る

▼2024年(令和6年産)
需要見通し:674万トン、需要実績711万トン
→需要が37万トン上回る


その要因として、▼インバウンドの増加や、▼物価高騰の中で、他の食料品より比較的安いコメが食べられたこと(購入量の増加)▼ふるさと納税の返礼品の販売が増えたこと、などを考慮できていなかったといいます。


さらに、生産面での予測も見誤っていました。

2024年、2023年の猛暑の影響で、白く濁ったコメが多く、精米後の食べられる量が想定より少なかったのですが、それを見落としていました。

こうした「需要の増加」と「供給量の減少」、両方を見誤った結果、2024年6月に5キロ2169円だったコメ価格は、2025年5月には4285円まで高騰しました。


【コメ スーパー販売平均価格】5㎏あたりの価格
2024年6月:2169円
2025年5月12日~18日:4285円
※(株)KSP-SPが提供するPOSデータに基づき農林水産省にて作成


新米シーズン近づく中、積みあがる“備蓄米” 価格も上昇 

一方、その後放出された「2000円前後の備蓄米」をめぐっても、政府の当てが外れています。


小泉進次郎 農水大臣(6月)
「私たちとしては、これはじゃぶじゃぶにしていかなきゃいけないんだと、そうじゃなかったら価格は下がらないと」


小泉大臣は、市場を「じゃぶじゃぶ」にして、コメ価格を下げる戦略をとり、9週連続で価格は下がりましたが、8月5日に発表された価格が前の週より40円上がったのです。なぜなのでしょうか。


【コメ スーパー販売平均価格】5㎏あたりの価格
2024年6月:2169円
2025年5月12日~18日:4285円

9週連続価格が下がる

2025年7月21日~27日:3625円(前週より40円価格が上がる)
※(株)KSP-SPが提供するPOSデータに基づき農林水産省にて作成


スーパーの備蓄米の棚を見てみると、在庫が積みあがっています。
当初は、1人1袋に限定して販売していましたが、今はその制限をやめました。

政府が備蓄米の販売期限を「8月末まで」とする中、すでに売れ行きが鈍り始めているといいます。


スーパーマルヤス 松井順子 代表
「売り出し当初は大変多くの方にご購入いただいて、そこがピークだった。8月下旬には売り切ることができるかなと予想している」


Q.結構ギリギリ?

スーパーマルヤス 松井順子 代表
「ギリギリになっちゃいそうですね」


消費者からもこんな声が聞かれています。

「昔のお米なので、(家族が)そこが気になるみたいなので買っていない」
「(備蓄米は)味も全然違うのと、子どももいるからやっぱり普通の(銘柄米)にしようと戻っちゃう」


すでに通常より早く出荷される「早場米の流通」が始まるなど、新米シーズンが近づく中の“増産”方針に、小泉大臣は…


小泉進次郎 農水大臣(8月5日午後4時半ごろ)
「これを機にコメの増産へと舵を切って、その中で生産現場のみなさんも、消費者のみなさんも安心して、これからの新たな時期を迎えられるように、政策の強化に全力で取り組みたい」


真山さん「生産側と購入側が満足できる価格を設定できるのかが心配」

小川彩佳キャスター:
ずっと「コメは足りている」としていた政府が一転、コメ不足を認めて増産に舵を切ると。「今になってですか?」というタイミングですよね。


小説家 真山仁さん:
統計などをきちんと取っているはずなんですけど、むちゃくちゃですよね。

「足りないからたくさん増産させます」と言っていますが、元々、生産者側からすると、コメはもっと高い値段で買ってもらわないと生活ができないという別の問題があります。普通の常識で考えると、増産すると値段が下がるんですよね。それを支援するのか。

財源がなくて、いろいろなものを支援している政府が「増産します」とだけ言って、作っている側と買う側の両方が満足できる価格を設定できるのでしょうか。そこが一番心配です。


小川キャスター:
どのような形で増産していくのかですね。


小説家 真山仁さん:
(政府は)アバウトで言い過ぎですよね。「こういう背景でこういうことをすると、きっと皆さんが幸せになりますよ」と、与党としては言ってもらわないと困りますね。


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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
最新著書に「アラート」


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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