コンビニの「ファミリーマート」と「ローソン」は、随意契約で購入した21年産、備蓄米の販売を開始しました。高止まりしていた銘柄米の店頭価格にも変化が起きつつあります。
【写真を見る】小泉大臣が視察 2時間で完売 コンビニ各社の備蓄米
コンビニやスーパーで販売開始 “2000円の備蓄米”どこで買う?
井上貴博キャスター:
コンビニ大手3社が農林水産省との随意契約により調達した政府備蓄米(古古古米)の販売を開始しました。
【ローソン】
<6月5日>
・東京、大阪の各5店舗で販売
・価格:1㎏ 389円 / 2㎏ 756円(いずれも税込み)
<6月14日~>
・全国約9割の店舗(沖縄除く)で販売予定
【ファミリーマート】
<6月5日>
・東京、大阪の各10店舗で販売
・価格:1㎏ 388円(税込み)
・6月中旬~順次全国の店舗で販売予定
【セブンイレブン】
「無洗米 2㎏ 775円(税込み)」を6月17日(火)より東京、大阪、四国をはじめとしたセブン‐イレブン店舗にて販売を開始。6月末までに東京、大阪、四国をはじめ約2割の店舗に販売拡大を予定。
大手スーパーの備蓄米(古古米)の販売予定スケジュールです。
【イオングループ】
6月1日~:東京・大阪など先行販売→全国の店舗へ
【イトーヨーカドー】
6月1日~:中京・関西エリア除く全店舗
【ベルク】
6月2日~:埼玉県内で先行販売→全店舗へ
【三和】
6月4日~:神奈川など25店舗で販売→7日から全店舗へ
【オーケー】
6月6日~:みなとみらい店から順次拡大予定
【ヤオコー】
6月上旬:一部店舗から販売準備中
店舗や地域によって差がありますが、スピードと公平性は、両立できませんので、まずスピードアップを先行した結果だと思います。今後は公平性をどう担保するのかが大きな課題となりそうです。
「スポット取引価格」下落 銘柄米の価格どうなる
スーパーやコンビニで備蓄米が流通するようになると、銘柄米の価格はどうなっていくのでしょうか。
コメの流通に詳しい宇都宮大学農学部の松平尚也助教によりますと、コメの取引にはおおまかに2つあるといいいます。
<スポット取引>
取引:JA以外の業者と卸売業者
特徴:短期的な小口取引
価格:市場価格に依存→変動が大きい
<相対取引>
取引:JAと卸売業者
特徴:継続的な大口取引
価格:直接交渉のため比較的安定
相対取引の場合、コメ農家→JAなどの集荷業者→卸・小売業者という流通ルートで、基本的に年に1回、1対1の取引を行います。農水省によりますと、2024年産(平均)の玄米60㎏の相対価格は2万4579円でした。
一部の専門家によりますと、いくら備蓄米を放出したとしても、「相対価格」がついているので、安い備蓄米を放出しても銘柄米の価格は下がらないといいます。
ところがJA以外の業者と小売業者の短期的な取引の「スポット価格」が変動しているようなのです。
8月には新米流通 銘柄米「古米」になる前に安くなる?
大潟村あきたこまち生産者協会の涌井徹会長によりますと、2024年産(平均)の玄米60㎏のスポット価格が▼5月26日週 約4万7000円だったのが、 ▼6月5日週 約4万3000円と4000円も値下がりしているということです。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
現在、店頭に「2000円の備蓄米」と「4500円の銘柄米」が並んでいますが、多くの人はやはり「2000円の備蓄米」を選んでしまいますよね。
今後、残りの政府備蓄米が放出されるとみられているので、消費者としては「しばらく様子を見ようかな」ということになり、結果、銘柄米を手にする人が少なくなるので、関係者としては「将来的に売れなくなってしまうのでは」と反応し始めたということでしょう。
出水麻衣キャスター:
2024年産(平均)の価格をみると、相対取引価格とスポット取引価格で2万円くらいの差がありますが…
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
タイムラグが一つの要因となっています。相対取引価格の方が先に価格が決まるのですが、スポット取引価格はデイリーで取引されているので、今回のような「コメ騒動」のようなことがあると価格が跳ね上がることもあるんです。
井上キャスター:
スポット取引価格が1週間で4000円ほど急落したことについて大潟村あきたこまち生産者協会の涌井徹会長は「2000円の備蓄米が出始めたことにより4500円の銘柄米が売れない」といいます。
つまり卸売業者としては銘柄米の価格が下がることを想定して“買い控え”をしたり、8月には新米が流通するので手元にあるコメが「古米」になる前に売り切りたいという事情から、少しずつ値段を下げているのではないかというのです。
政府は5日夕方から始まる関係閣僚会議で▼コメ価格高騰の原因分析 ▼今後の対応を議論するということです。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
当面の課題はまず「何で高くなったのか」という検証です。検証を受けてすぐできること、中長期的にやることの区分けが必要になってくるでしょう。
ただ基本的に大事なのは中長期的に「本当にコメの量が足りているのかどうか」という点をまず検証しないといけません。そこがある程度見えてくれば全体的な中長期的対策が打ちやすくなるのですが、政府関係者からは「生産者のことを考えるとそんなに安くはできないと」という意見も出始めているようです。
政府にはこの1年間、何をやっていたのかという検証もしてほしいですよね。「コメは足りている」と言っていて結局、新しい手を打っていなかった。そこからまずチェックしないと根本的な解決にはならないですよね。
出水キャスター:
選挙も控えていますので、不都合な真実というのはなかなか出てこないのではないでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
生産者に対しても消費者に対してもそれは明らかにありますね。
==========
〈プロフィール〉
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
・エアコン「1℃下げる」OR「風量を強にする」どっちが節電?誤解の多いエアコン節約術【ひるおび】
・スマホのバッテリーを長持ちさせるコツは?意外と知らない“スマホ充電の落とし穴”を専門家が解説【ひるおび】
・「パクされて自撮りを…」少年が初めて明かした「子どもキャンプの性被害」 審議進む日本版DBS “性暴力は許さない”姿勢や対策“見える化”し共有を【news23】