スーパーなどに並び始めた随意契約による備蓄米。大手コンビニはいつ、いくらで売り出すのでしょうか。コメ価格が高止まりする中、コンビニ各社の「おにぎりセール」とは?
【写真で見る】コメ価格が高騰する中、コンビニ各社が開催「おにぎりセール」
利益は度外視? コンビニ各社が「おにぎりセール」
高柳光希キャスター:
コメの高止まりが続いている中、“コンビニ各社”がおにぎりセールに踏み出しました。
【コンビニ各社おにぎりセール】
▼ローソン
7月から“ヴィンテージ米おにぎり”
30~70円値引き(関東限定で販売予定)
▼ファミリーマート
6月、おにぎり1000円分クーポンを500円で受け取り可能に。
※アプリ会員の最高ランク限定(1か月で来店15回以上、および、1万5000円以上購入した人が対象)
▼セブン-イレブン
11日~14日、170円以上の商品を100円などで販売 ※税抜き価格
高止まりが続いている中で、なぜそうした戦略に出られるのでしょうか。
TBS報道局 経済局 髙見知可さん:
それは「おにぎり離れ=コンビニ離れ」という点にあります。
「おにぎりが食べたい」と思ったときに、買い物先としてコンビニが真っ先に思い浮かぶ人が多いと思います。
おにぎりはいわば「コンビニの顔」なので、おにぎりから客が離れれば、コンビニの来店客数の減少にも繋がりかねません。
ただ各社セールをしますので、そのぶん利益はある程度度外視して、期間限定としています。
おにぎりは「コンビニの顔」 半数以上が“市販のもの”を食べる
TBS報道局 経済局 髙見知可さん:
総務省の調査によると、おにぎりの支出額は、2000年の3103円から2024年には6166円と、20年間で約2倍にまで増えています。
※二人以上の世帯「おにぎり・その他」総務省家計調査より
2022年マイボイスコム(株)の調査によると、これには理由があり、▼自宅で作ったものを食べる人が35.3%、▼市販のものを食べる人は50.8%となっています。
パリパリの海苔、手が汚れないパッケージなどの、コンビニから生まれたおにぎりは日本食として馴染んでいて、若い人や海外の人にとっておにぎりは「コンビニで買うもの」と定着しているということです。
ローソンの竹増貞信社長も「おにぎりはど真ん中。そのくらい大事な存在。おにぎりで成長してきた」としています。
「マグネット効果」で“ついで買い”を誘う狙いも
TBS報道局 経済局 髙見知可さん:
おにぎりの重要性は、コンビニの陳列棚にも表れています。
おにぎりの陳列棚は一番奥に設置されることが多く、入口から目に付きやすいですが、店内を歩かないと買いに行けない場所に配置されます。
流通経済研究所の池田満寿次 上席研究員によると、こうした配置にする理由に「マグネット効果」と呼ばれるものがあり、「客を奥まで引きつけ、“ついで買い”を誘う」狙いがあるということです。
大手コンビニ関係者は「おにぎり目当ての客が“ついで買い”をする売り上げや集客効果は、仮にセールで身を切ってでも得たい大事なもの」だとしています。
コメや海苔などの価格高騰を背景に、コンビニ最大手の「セブン-イレブン」は、ツナマヨネーズのおにぎりを、2025年に入って2回も値上げしています。
2月:138円
3月:149円
5月:167円
※価格は全て税込み
ただ、各社は物価高の中で戦略を練っており、大きめのおにぎりを出したり、専門店とコラボレーションしたり、付加価値をつけることで広く需要を取り込もうと奔走しています。
井上貴博キャスター:
ドラッグストアなどの競合も出てくる中、コンビニエンスストアとしても厳しいだろうと思います。
また備蓄米の放出で、1キロで販売する企業が出てくるなど、民間企業の知恵はこれほどまでにたくましいのかと、誇らしく感じました。
パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
コメがまだまだ日本の文化に大事な役割を果たしているのだと感じました。
コンビニの場合は競争がとても激しいので、まずは来店してもらわないといけませんが、その来店のきっかけが、おにぎりです。
コンビニの全ての商品の中でも、お弁当とおにぎりが1位、2位で、来店したついでにドリンクやお菓子など、そのときに必要な他のものも買うということで、非常に大事な商品です。
昔はおにぎりというと「安くて手軽」なものでしたが、今は普及しているので値上げだけではなく、味を改善したり、具材を贅沢にしたりして、「贅沢で手軽」なものになっています。
2018年のデータによると、コンビニだけでおにぎりを1年間で66億個売っています。つまり1人当たり約50個買っている計算になり、客を引き入れる大きなきっかけになっているようです。
備蓄米は?スピード+各社の戦略
高柳キャスター:
3日、ローソンとファミリーマートは随意契約の申請が通過したことを発表しました。
【コンビニ“古古古米”販売へ】
▼ローソン 500トン入荷
1キロ360円/2キロ700円 ※税抜価格(入荷後最短3日間、1週間で全国販売)
▼ファミリーマート 1000トン入荷
当初1キロ400円→360円 ※税抜価格(最短で6月6日から、東京・大阪の一部店舗)
▼セブンーイレブン 500トン入荷
無洗米2キロ800円前後 ※審査待ち(審査通過後3日程度で一部店舗へ)
スピード感と価格で勝負をかけている形でしょうか。
TBS報道局 経済局 髙見知可さん:
今回、農水省はスピード感を重視し、備蓄米を「玄米か白米で売るよう」指定していますので、各社が戦略を練ったということになります。
パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
「ヴィンテージ米」とネーミングしたローソンはさすがだと思いました。それだけでイメージが良くなるので、名前は重要だと感じました。
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<プロフィール>
髙見知可
TBS報道局 経済部 農水・流通など担当
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など
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