
アクセンチュア執行役員でAIセンター長の保科学世氏が、最新のAI技術を活用したコンサルティングの“革新”について語りました。
従来のコンサル業務が大きく変わりつつある中、AIを駆使した新しいアプローチが企業変革にどのような影響を与えるのか、その実態に迫ります。
プレゼン資料を“秒”で作る 驚異のAIツール
保科氏は、アクセンチュア内で開発された画期的なAIツールのデモンストレーションを披露しました。コンサルタントの業務効率を劇的に向上させる可能性を秘めているといいます。
「コンサルファームの業務を分解して、イメージ通りのもので作ってくれます」と保科氏は説明します。
アクセンチュアの社内AIツールは、すでにパワーポイントなどのソフトウェアに組み込まれており、例えば「成果型コンサルティングのビジネスモデルについて簡潔に説明したスライドを作って」と指示するだけでOK。実際のデモでは、スライドをAIが数秒で作成しました。
「今までだったら一生懸命にそれなりの人数の皆さんが1か月ぐらいかけて作ったものが、本当に1週間以内に終わってしまいます」
資料作成の過程では、人間の介入なしにAIがさまざまな企業データを読み込んで、自動的にストーリーを組み立て、40ページ程度の提案書を生成することも可能だといいます。
AIが変える企業の意思決定プロセス
アクセンチュアでは、単なる業務効率化にとどまらず、企業の経営判断にもAIを活用する取り組みを進めています。保科氏は、「バーチャルCXO」と呼ばれるAIエージェントの開発について言及しました。
「CEOを支えるAIや、提案書、さらに、AIエージェント同士が対話をしながら仕事をしていくというところもチャレンジを始めています」
このシステムでは、営業や生産などの各部門を支援するAIエージェントが互いにコミュニケーションを取り、部署間の調整を行います。これにより、意思決定のスピードと質が向上することが期待されています。
人間の役割はどう変わるのか
「AIにリスクを取らせない」
AIの導入により、コンサルタントの業務の3割から4割が置き換わる可能性があるとしながらも、保科氏は人間の役割がなくなるわけではないと強調します。
AIは選択肢を提示し、シミュレーション結果を示すことはできますが、最終的な意思決定とリスクテイクは人間が行う必要があるということです。
新たなスキルと教育の重要性
AIの導入に伴い、企業内での教育やスキル開発の重要性も高まっています。保科氏は、AIをトレーナーとして活用する新しい取り組みについても言及しました。
「トレーナーが生成AIになった方が実は成長スピードが早い」と述べ、その理由として「AIであれば人間の社員にしにくい“バカな質問”もしやすい」と説明しています。
アクセンチュアの変革
最後に、保科氏はアクセンチュア自身の変革についても触れました。AIの活用により、コンサルティング会社としての従来の枠組みを超えた成長を遂げているといいます。
「必要なことを何でもやっていく」と保科氏は述べ、コンサルティングからテクノロジー開発、さらには業務受託まで、幅広いサービスを提供する総合的な“変革パートナー”としての姿勢を示しました。
アクセンチュアの例は、AIがもたらす変革の波が、コンサルティング業界だけでなく企業経営全体にどのような影響を与えるのかを示しています。
今後、多くの企業がこうしたAI活用の波に乗り、より効率的で創造的な経営を目指していくことが予想されます。
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