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“ゼリーのような食感”『紅プリンセス』の苗木が中国に流出?愛媛の農家「かなりの脅威」国産ブランド果物を守るには【ひるおび】

国内
2026-06-25 12:59

愛媛県が開発した高級柑橘「紅プリンセス」をうたった苗木や果実が中国の大手通販サイトで販売されており、海外へ流出した可能性が浮上しています。
22日、愛媛県の中村知事は鈴木農林水産大臣に緊急要望を行い、国による実態の把握や、流出が確認された場合の支援、再発防止に向けた対策などを求めました。


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鈴木憲和農林水産大臣
「大変な危機感を抱いているところであります。
今後こういった事態が二度と起こらないように、いかに対応できるかがまさにこれからの私たちの正念場だと思っております。」


国産ブランド果物を海外流失から守るには、どうすればいいのでしょうか?


20年近くかけて開発「紅プリンセス」

「紅プリンセス」は「紅まどんな」と「甘平」を掛け合わせた高級かんきつで、愛媛県が20年近い歳月をかけて開発しました。
糖度12度以上と濃厚な甘みを持ち、皮が薄く種も少なく、ゼリーのようなとろける食感が特徴です。


「食べチョク」代表 秋元里奈氏:
2018年の西日本豪雨でみかん研究所が被災してしまって、その時に奇跡的に紅プリンセスの苗木が残ったんだそうです。
これが発売されるのは、ある意味復興のシンボルと言いますか、地元の方からしてもかなり思い入れの強い品種なんですよね。


2025年2月に行われたお披露目会で、秋元さんは「紅プリンセス」を試食したそうです。


「食べチョク」代表 秋元里奈氏:
すごくおいしいです。本当に高級感があって、すべてが100点。香りも味も良いですし、食感も最高です。
まだ疑いですけれども、本当に盗まれているのであれば非常にインパクトが大きいと思いますし、感情的にもやっぱり許せないですよね。本当に長い年月かけて開発されたおいしい品種なので。


中国の販売サイトには“紅プリンセス”の苗木や果実が

番組スタッフが中国の大手通販サイトを見てみると、木に実った果実の写真が並び、『愛媛48 紅公主(紅プリンセス)』と記載されていました。
サイトを詳しく読むと、販売されているのは「紅プリンセス」の“苗木”です。
通販サイトでは、安いもので1株7.8元(日本円で約186円)で売られていました。


2025年3月に販売を始めたばかりの「紅プリンセス」ですが、売られている苗には2年物・3年物・4年物の記載があり、開発中の時期と見られる苗木も販売されていました。


サイトの業者に、どこから仕入れているのか連絡をしてみると、
「四川省から買い入れた枝で接ぎ木をして苗を育てている」との回答が。
原産国は「日本」としており、農家が正規のルートで苗木を入手しているのかを聞くと、「それについては私たちの方では分かりません」と返答がきました。


さらに、中国の動画サイトには「紅プリンセス」を生産している農家と見られる動画もあり、木の前に立つ男性が「うちにある紅プリンセスは本物です」と話しています。


この農家に電話をかけてみました。
【番組スタッフ】もしもし、苗木屋さんですか?
【中国の農家】誰?
【番組スタッフ】そちらの方で紅プリンセスの苗は販売していますか?
【中国の農家】あるよ。
【番組スタッフ】今も販売していますよね?
現在も販売しているかを聞くと、一方的に電話を切られてしまいました。


恵俊彰:
盗まれているといわれている苗木は、本物かどうかまだ分かっていないんですか?


「食べチョク」代表 秋元里奈氏:
まだ本物かどうかわからなくて、もしかしたら違うものを「紅プリンセス」として販売している可能性もあります。「紅プリンセス」が去年から出てきて、人気になるだろうと先を読んでやっているのか、もっと早い段階で本当に盗まれたのかはまだわからないというところですね。


種や苗の販売には、厳重な管理体制が敷かれています。
愛媛県の中村知事によると、種苗の取り扱いは限定した十数社のみで、民間の研究所の外国人の視察も全て断っており、量販店での取り扱いは一切禁止となっています。


「紅プリンセス」を栽培する農家はー

愛媛県で「紅プリンセス」を栽培する農家に、中国のECサイトを見てもらいました。


OCファーム 暖々の里 長野洋平さん
「愛媛県でもこんなサイトで売ってないですよ。
恥ずかしくないんですかね?すごいな…」


サイトに載っている苗木の画像だけでは品種の見分けは付かないそうですが、掲載された動画に気になる点が・・・


OCファーム 暖々の里 長野隆介さん
「動画の中で(枝を)吊っている画像も出てきて、もしかしたら本当に愛媛県だけが持っている技術も併せて流出しているんだったら、それもかなりの脅威になると思います。」


苗木に限らず“枝吊り”という栽培技術まで流出している可能性があると言います。


コメンテーター 田中理恵:
あまり外に出ていない細かい情報、育て方まで知っているというところもちょっとおかしいなと思いますよね。


どうやって日本から持ち出される?

日本のブランド果物は過去にも海外に流出しています。
▼シャインマスカット➡中国・韓国へ流出
▼ふじ(りんご)➡中国へ流出
▼章姫・レッドパール(いちご)➡韓国へ流出
▼ルビーロマン(ぶどう)➡韓国へ流出
▼デコポン➡韓国へ流出
▼紅秀峰(さくらんぼ)➡オーストラリアへ流出


果物はどうやって海外に持ち出されてしまうのでしょうか。
宇都宮大学の櫻谷満一特任准教授によると、「穂木」が海外に持ち出されるケースが考えられるそうです。
「穂木」は植物の枝や芽のことを指し、作りたい果物の「穂木」を相性のいい木と接ぎ木することで、果実を実らせることができます。
5センチ程度でも接ぎ木できるので、ポケットに入れて容易に持ち運べてしまうということです。


恵俊彰:
盗まれたものが美味しく栽培されなければ、美味しくなくなるわけじゃないですか。そうなるとその果物の価値が下がってしまう恐れもあるわけですよね。


海外流出対策 どうすれば

櫻谷准教授によると、ブランドを守るには当該国での品種登録が必要です。
品種登録をすると▼栽培・販売の差し止め請求▼損害賠償請求ができます。
ただ「紅プリンセス」に関しては、2019年に中国に出願したものの、7年経った今もまだ登録されていません。


農水省は、海外での品種登録を進める機関を8月にも設立する予定です。
他にも、海外へのライセンス契約や、無断栽培者への損害賠償請求なども行うとしています。


恵俊彰:
なかなか海外では登録してもらえないんですか?


「食べチョク」代表 秋元里奈氏:
これには果物特有の事情もあります。現地で栽培するなど検証が必要で、特にみかんだと数年かかるので遅れてしまうことがあると思います。
2020年に種苗法が改正されて、今年海外の機関もできますけど、ちょうど今は対策をしている間のタイミングです。今回「紅プリンセス」はちょうどその隙間のタイミングで流出してしまったので、もし流出していたら結構厳しいなというところはありますね。


恵俊彰:
これは、国際機関みたいなものを設立して、そこが一手に担って調査に入っていくようなシステムはできないんですかね。


弁護士 八代英輝:
一応条約がありまして、種苗の知的財産を保護するということで各国が協力をしてるんですけども、その国その国で登録しないといけないという事情があるので、日本の登録だけでは海外に主張できない。
できるだけ海外に流出させない、水際で食い止めるのが今の段階の対策です。
たださっきあったように、「穂木」も小さくていいとなるとまた難しいですね。


恵俊彰:
逆に言うと、海外に流出したものも「日本の財産」という形で利益がもらえるようになれば、多少の効果はあるような気がします。
一対一の交渉だったら何年かかっても相手の国にペースを握られちゃうじゃないですか。国が間に入らないといけない、大変な問題ですね。


(ひるおび 2026年6月23日放送より)
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<プロフィール>
秋元里奈氏
オンライン直売所「食べチョク」代表 
Tシャツ企業家 神奈川の農家に生まれる


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