クマによる被害は、 過去最多ペースで推移しています。
連日のようにお伝えしているクマによる被害から、クマの傾向を見ていきます。
【写真で見る】ごみを漁るクマ vs 絶対に荒らされないごみ箱 クマの習性を逆手に!
柿がクマを引き寄せる? クマの習性を分析すると…
日比麻音子キャスター:
環境省によると、24日午前の時点でクマによる死者数は過去最多の9人。被害件数は9月末の時点で99件と、過去最多ペースです。
なぜ、こういったクマの被害が相次いでいるのでしょうか。
2025年はドングリが不足しており、人の生活圏内にクマが降りているという状況も見えてきましたが、ドングリではなく、“あるモノ”がクマを引き寄せているのではないかと専門家の会議で発表がありました。
兵庫県立大学の横山真弓教授によると、兵庫県内での調査では栗が7%、梨が3%、リンゴが1%、ごみが2%となっているなか、突出して多かったのは柿で71%でした。
兵庫県内は庭先に柿の木が多いという特徴も一つ挙げられるそうですが、兵庫県だけではないようです。
10月7日、宮城県・白石市で撮られた映像では、クマが民家の庭にある柿の木に登っています。実は前日にもクマが現れており、2日連続の出来事だったそうです。
そして、2023年に秋田県の東成瀬村で撮られた映像でも、クマが柿の実を食べている様子がわかります。このあと山のほうへ逃げていったということですが、東成瀬村では24日、新たなクマの被害が明らかになりました。
このように各地で柿を食べているクマの様子も見えていますが、エサに関する習性が分析されています。
横山教授によると、クマは資源が豊富なものをエサにする習性があります。つまり、「たくさんあるところに行けば効率よくエサを得られる」と学習する習性があるということです。
高齢化などが進んでいき、実を取り切ることができない放置果樹園が増えているという背景も、原因の一つとして挙げられるのではないかという分析です。
さらに、脂質が豊富なドングリが凶作ななか、クマは糖質が豊富な柿を食べることによって脂肪を蓄えているのではないかという分析もあります。
山内あゆキャスター:
私は野鳥が好きで、よく観察します。鳥は柿がいつ食べごろになるか何度も見に来て、しっかりと実ったころに食べに来ます。
きっとクマも下見に何回も来て、そろそろだと思ったところで食べているのではないかという印象がありました。
南波雅俊キャスター:
脂質であるドングリを糖質である柿で置き換え、でも体にはしっかり脂肪を蓄える。そういうことも学びながら習性を変えていくところは、すごく頭がいいと思いました。
ごみ漁るクマに効果発揮 “絶対に壊れない”ごみ箱
日比キャスター:
なかなかクマの対策は難しいところではありますが、ポイントとしては、クマは「資源が豊富なところに行く」ということです。
そういった場所をなかなか作らないようにすることも大切だと思いますが、横山教授に聞くと、「生活圏内の柿を伐採する」ことが対策としてはいいのではないかとのことでした。
なぜかというと、クマは放置果樹園がある集落をエサ場と認識することによって何度も来てしまい、場合によっては人を見ると襲うこともあるからだということです。
さらには、「エサがあるのではないか」と、ごみ箱を探りに来るクマもいるそうです。
動物園で行った実験では、クマはごみ箱の中のエサを食べようとしますが、絶対に壊れないごみ箱「とれんベア」が使われました。
「とれんベア」は厚さ2ミリの鉄製で、クマの爪がどこにも引っかからない構造になっています。エサが食べられないとわかればそこには来なくなるという、クマの習性に着目したごみ箱です。
“絶対に荒らされない”ごみ箱ということで、問い合わせが増えている「とれんベア」は、設置費用別で71万5000円。前述した特徴に加え、約900キロのコンクリートに固定。北海道や栃木県で17台設置されているということです。
71万5000円という価格は少し高い印象ですが、栃木県では2025年2月に3台導入し、市などにレンタルすると形をとっているそうです。
1台は那須塩原市に設置されており、中塩原 獣害対策協議会の君島陽一会長は、「2024年までは月1回ほどごみが荒らされたが、設置後は一度も荒らされていない」と話しています。
やはり、クマが「ここはもう食べるものがない」と認識すれば、来なくなるということのようです。
高柳光希キャスター:
クマは賢くて学習能力が高いからこそ、それを逆手に取った対策をするのはすごくいいと思いました。
日比キャスター:
費用などがかかるので、各自治体のサポート補助金なども確認してみるのがいいかもしれません。
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