「アメリカとの関税交渉にひとつの区切りがついた」として、辞任を表明した石破総理。決断の裏側には果たして、何があったのでしょうか?そして“ポスト石破”に向けた動きも活発になっています。
「続投」から一転「総理辞任」菅副総裁らとの面会で何が?
高柳光希キャスター:
参院選の敗北後も一貫して、続投に意欲を示してきた石破総理ですが、このような発言が続いていました。
【石破総理の発言】
8月8日:「引き続きこの日本国に責任をもってまいります」
9月2日:「しかるべき時にきちんとした判断をすることが、私が果たすべき責務である」
9月5日:「この秋に経済対策を策定いたします」
この間、石破総理はどのようなことを考えていたのでしょうか。
TBS報道局 政治部 中島哲平 官邸キャップ:
石破総理としては、政権をまだ継続していきたいという思いがあったようです。会見でも「道半ば」とおっしゃっていて、地方創生やアメリカとの関税交渉についても、まだやるべきことがあるということだったため、何とか政権を継続したいと考えていたのでしょう。
党内で“石破おろし”の動きもかなりありましたが、「これには屈することができない」という強い思いがあり、衆議院の解散総選挙もちらつかせながら、「政権を続けよう」という思いをずっと持っていたようです。
高柳キャスター:
続投に意欲を示していたところから一転して辞任になったわけですが、風向きはいつ変わったのでしょうか。
【石破総理 いつ?風向き変わった】
4日(木):続投の意志は固い
5日(金):日米交渉に一定のメド
6日(土):菅副総裁・小泉農水大臣と面会
7日(日):午後6時 辞任表明
8日(月):“総裁選前倒し”の書面受付(中止)
中島哲平 官邸キャップ:
我々の取材でも、9月5日までは石破総理の政権を継続する意思は固かったと思われます。
ただ、9月4日から5日にかけて、関税交渉に一定のメドがついたあたりから「石破総理が辞任するのではないか」という情報もありましたが、自民党の総裁を辞め、総裁選に再出馬して審議を問うのではないかという話もありました。
9月6日になると、「石破総理が実際に辞任をするのではないか」という話にだんだん変わってきました。そして6日の夜には、菅副総裁と小泉農水大臣と面会をしました。そこで、「党を分裂させるようなことはしてはいけない。総裁選前倒しの書面の提出を求めるまでに進退を決めてほしい」というようなことを伝えられ、一夜明けた9月7日、辞任の意向を固めたということです。
石破総理周辺に話を聞くと、辞任の意向を固めたのは、やはり9月6日の夜から7日の午前中にかけてだったようです。
辞任表明会見で明かした本音と無念さ
高柳キャスター:
9月7日午後6時に、辞任表明の会見が50分間にわたり行われたましたが、実際に現場を取材して、どのようなことを感じましたか。
中島哲平 官邸キャップ:
私は石破総理を取材して長いですが、総理になる前まで見せていた石破総理らしさや、本音というものがかなり垣間見えたような気がしています。
というのも、「衆議院の解散について検討していたのか」という質問をされた際に、「そういった考えがあったことについては否定しない」と言いました。普通、総理大臣が「解散を考えていた」ということは言わないのですが、ある意味吹っ切れていたのか、正直に話されたのだろうなと思います。
政権運営についても、「多くの人に配慮をして、党の融和を考えて、このような結果になってしまった。本当はどうしたらよかったのか」というようなことを言っていました。「自分のやりたいことをもっとやっとけばよかった」という無念さのようなものもかなりにじませていて、非常に本音を語った会見だったのではないかと思いました。
井上貴博キャスター:
“石破さんらしさ”に期待をした国民も多かったのではないでしょうか。中島記者の解説にもあった、会見での石破さんらしさをもっと早く出してほしかったと思います。
総理在任中は、“らしさ”は影を潜めていて、最後の最後、選挙に負けた後に石破さんらしさを出そうと腐心しているように感じました。それがむしろ、ポストにしがみついているように見えてしまったので、残念な気持ちもあります。
経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
石破総理が党内野党として物言う姿を私達も見てきたので、自民党を変えるのではないかと期待をしていました。しかし、配慮の中でいろんな立場の人の意見を聞き、どうしようもない立場になり今に至るのだろうと思います。もっと早くから石破さんらしさを出していただきたかったです。
出水麻衣キャスター:
辞任を決めた要因として、菅副総裁の存在や投票に関して党内が分裂したことなど、色々なものがあったと思いますが、中島記者の取材では一番の決め手は何だったと思いますか。
中島哲平 官邸キャップ:
二つあると思います。菅副総裁たちと面会をしていましたが、菅副総裁も岸田前総理も、総理在任中に最後は自ら退陣を決めたことにより、その後も自民党内で影響力を残すことができました。引きずり下ろされて辞めるのではなく、出処進退を自分で決め、政治家としての矜持を示すことで影響力を残すということがまず一つ。
また、本来9月8日に行うはずだった自民党総裁選の前倒しの意思確認についても、賛成が半数を超えそうで、臨時総裁選が行われる見通しになってきたために、追い込まれた面もあると思います。
ポスト石破は誰に?最新世論調査を解説
高柳キャスター:
では今後どうなっていくのか、ポスト石破についてです。「次の総理」にふさわしい人について、JNNが世論調査を行いました。
【「次の総理」にふさわしいのは?】JNN電話世論調査
※9月6日・9月7日・RDD方式(固定・携帯)全国18歳以上2749人(有効回答1030人)
小泉進次郎氏:19.3%
高市早苗氏:19.3%
石破茂氏:8.6%
玉木雄一郎氏:5.8%
河野太郎氏:4.9%
野田佳彦氏:3.2%
林芳正氏:2.2%
上川陽子氏:1.8%
小林鷹之氏:0.9%
茂木敏充氏:0.9%
加藤勝信氏:0.6%
藤田文武氏:0.1%
トップが、小泉進次郎農水大臣と高市早苗前経済安保担当大臣でそれぞれ19.3%を獲得しています。続いて石破総理となっています。
中島哲平 官邸キャップ:
「次の総理にふさわしい人」というと、どうしても知名度による部分も出てきます。茂木前幹事長も出馬の表明をしましたが、これからいろんな方が出馬表明して、メディアにも取り上げられることで、数字も少しずつ変わっていくのではないかとは思います。
高柳キャスター:
新しい総裁がいつ決まるのでしょうか。総裁選はフルスペックで開催する方針となっています。9月22日に告示、10月4日に投開票で最終調整が行われています。細かいことは9月9日に正式決定がされるということです。
井上キャスター:
どなたが総裁になるにせよ、「自民党を変えられるか」ということが一つ大きなテーマになると思います。今回、石破総理は変えてくれるのではないかと思われていましたが、変えることはできませんでした。やはり党内にある程度仲間がいないと“らしさ”を出すこともできないということでしょうか。
中島哲平 官邸キャップ:
やはり政権運営は1人でできるものではなく、党幹部や閣僚などとチームでやっていくものです。いくら1人で「こういうことをやりたい」と言っても、それを支える人がいないと、政権運営は難しいということが、今回の石破政権でよく分かりました。
馬渕磨理子さん:
やはり党内をまとめるリーダーシップがあり、野党との合意形成ができる方が望ましいと思います。そして新しい総裁を決めたら、みんなで支えてほしいと思います。
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<プロフィール>
中島哲平
TBS報道局政治部 官邸キャップ
2017年から石破氏を担当
過去に石破氏のドキュメンタリー映画制作
馬渕磨理子さん
経済アナリスト
日本金融経済研究所代表理事
“日本一バズる”アナリスト
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