
戦後80年の節目となる終戦の日を迎えましたが、日本の安全保障の要ともいえるアメリカとの同盟関係が、今転機を迎えています。
戦後80年 かつての“敵国”との関係
アメリカ・ロサンゼルスの日本人街「リトルトーキョー」で、多くの人が集まる人気スポットがあります。大谷翔平選手の巨大壁画。スマホをかざすと、大谷選手が動き出すことでも話題に。
ここからほど近い「Jフラット」と呼ばれる町には、今から80年以上前、多くの日系人が暮らしていました。ところが、突然…
バーバラ・マーシャル・ウィリアムスさん
「隣人(の日系人)は、まずサンタアニタ競馬場に送られ、馬小屋に住まわされました。とても衝撃的でした」
1941年12月、アメリカ政府は国内にいる日系人を「敵」とみなす「敵性外国人法」を適用。約12万人の日系人が、強制収容所に送られたのです。
背景にあったのが太平洋戦争。日本とアメリカは3年8か月にわたって、戦火を交えました。
そして1945年、日本の敗戦によって、戦争は終結。戦後、日本ではアメリカなど連合国軍による占領統治が開始されます。
吉田茂 総理(1951年・当時)
「この平和条約は復讐の条約ではなく、和解と信頼の文書であります」
1951年、サンフランシスコ講和条約によって、日本は独立を回復。
このとき、同時に結ばれたのが日米安全保障条約。その後の改定を経て、日本はアメリカに基地を提供する一方で、アメリカが日本の防衛義務を負うことなどが定められます。
この結果、日本は防衛に多大な予算を使うことなく、経済復興に努め、世界第2位の経済大国に上り詰めます。
戦後、安全保障をもっぱらアメリカにゆだねる形となった日本ですが、その関係は少しずつ変化を迎えます。
同盟の変化…進む日米の“一体化”
1991年の湾岸戦争では、アメリカは自衛隊の派遣を要請。日本は、代わりに総額130億ドルの支援を行いますが、アメリカメディアに掲載された感謝広告に日本の国旗はありません。結局、停戦後、ペルシャ湾に掃海艇を派遣します。
また、2003年のイラク戦争では、アメリカから陸上部隊の派遣を要請されますが、この時も憲法上の制約などから、戦後の人道復興支援という名目で、自衛隊をイラクに派遣しました。
アメリカが日本に求める役割が大きくなる中、さらに大きな転機となったのが...
安倍晋三 総理(2015年・当時)
「(日米)同盟はより一層、堅固になります」
2015年、訪米中の安倍総理はアメリカ議会で、安全保障法制の整備を夏までに成立させると宣言します。
同年9月には、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を可能にする安保関連法が成立。
アメリカ軍による軍事行動を、自衛隊がより密接に支援することができるようになるなど、日米の“一体化”が進んだのです。
「誰がこんな条約を」岐路を迎える日米関係
今、沖縄では中国の海洋進出などを背景に、自衛隊の「南西シフト」と呼ばれる動きが進行。自衛隊配備の空白地域になっているとして、石垣島や宮古島などの南西諸島に自衛隊の駐屯地を開設していったのです。
2024年、駐日アメリカ大使は、台湾に最も近い与那国島などを訪問。台湾有事を念頭に、日米の連携をアピールする狙いがあるとみられました。
ところが今年3月、トランプ大統領は、日米安全保障条約では「日本にアメリカを防衛する義務がない」として、不満を口にします。
トランプ大統領
「アメリカは日本を守らなくてはならないが、日本は我々を守らなくていい。そうした中で、経済的に日本は我々から大儲けしている。いったい誰がこんな取り引きをしたんだ」
この直後、来日したヘグセス国防長官は、中国の軍事的脅威に対する懸念を強調。台湾有事に際し、日本が「最前線」に立つともとれる発言をしたのです。
ヘグセス国防長官
「西太平洋でのいかなる有事においても、日本は“最前線”に立つことになる。平和を求めるなら、戦争の準備が必要です」
アメリカ主導で進む日米の軍事協力に、国際政治学者の藤原帰一さんは...
順天堂大学 藤原帰一 特任教授
「アメリカとの関係を強化すれば、日本の安全が達成されるという考え方は、アメリカの政策によっていくらでも変わりうるもの。トランプ大統領の場合には、同盟国との関係を重視しない。何をするか分からない」
そして、貿易などの経済的なつながりを活かした、日本ならではの外交の重要性を訴えます。
順天堂大学 藤原 特任教授
「(日米)同盟という政策を一方で支えながら、日本が外交の手段として使ってきたのは、何よりも経済外交でした。経済外交というオプションを持っていることで、紛争のエスカレーションを防ぐための、外交政策の余地を残しておく。それができる」
迎えた、戦後80年の終戦の日。不戦の誓いを新たにする中、日米関係も岐路を迎えています。
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