自民党内で収束が見通せない“石破おろし”の動き。続投する意向の石破総理と、退陣を求める議員の圧力。党内からは“我慢比べ”という声も上がるなか、どう決着するのでしょうか。
想定より超過 4時間半に及んだ「自民党の両院議員懇談会」
高柳光希キャスター:
7月28日に行われた「自民党の両院議員懇談会」は、元々の予定を大きく超過して、4時間半にわたって開催されました。
出席した議員によると、8割の議員が「退陣要求」をしているにもかかわらず、その後、石破総理は改めて「続投」を表明しています。
【議員の発言(出席した議員による)】
退陣要求:8割
続投要求:1割
ふれず:1割
両院議員懇談会の様子や開催後の反応についてなど、教えてください。
TBS報道局 政治部 長田ゆり記者:
28日に行われた両院議員懇談会ですが、案内状は2時間の予定でした。ただ党執行部は「2時間では終わらないだろう」ということで、「バッファーを1時間を見て、3時間ぐらいではないか」という想定でした。
けれども、実際に蓋を開けてみると、4時間半。計64人の議員が発言した懇談会になりました。
出席者によりますと、後半にかけて、石破総理の退陣を求める意見が次々と出て、追加で自分も発言したいと、手が上がっていったような状態でした。
反発心もある? 石破総理が「続投を表明」した2つの理由
高柳キャスター:
懇談会の後、なぜ「総理続投の表明」に至ったのか。理由は大きく分けて2つあります。
まずは「日米合意」について。
「日米合意を着実に実行していくということに、私どもの内閣として、重い責任を負っている」。
そして、もう1つは「世論」についてです。
「国民世論というものと、我が党の考え方というものが、一致することが大事」と、両院議員懇談会で話していました。
長田記者:
まず1つ目の「日米合意」についてですが、総理は周辺に対して、このように語っています。
「『(関税交渉・合意の実行は)私(石破茂)じゃなくてもできる』という人はいる。だけど、中身を一番知っているのは、今の石破政権なんだ。これまでの経緯、議論を知っている政権がやらないといけない」
日米合意では一定の結論を見たのですが、今後の実行についても、やり切らなければという責任感から、こういう発言が出ています。
ただこの発言に対して、「外務省や経産省がこれまでの交渉を見てきたのだから、石破総理でなくとも問題ないだろう」と、この意見では納得できないというのが、党内の見方としてはあります。
もう1つ「世論」についてです。
各社の世論調査で、「辞任すべき」と「その必要はない」の数字が拮抗しているところがあります。こういった世論の声が石破総理の心のよりどころとなっているという見方ができると思います。
さらに、私たちの取材でこんな理由も見えてきました。
7月23日に、一部報道が「総理退陣へ」という号外を出しました。これに石破総理側が反発しているのではないか、という声が聞こえてきています。
例えば、総理周辺では、報道が先行したことによって「むしろ絶対に辞めない」という声。これは“反発心”と受け取ることができると思います。
また、ある自民党関係者は「(石破総理は)辞めることをやめた。完全にいじけた状態」と見ています。
井上貴博キャスター:
組織のトップとして責任を取る必要があるとは思うのですが、それとともに感じるのは、今の古い自民党を作り上げた張本人の皆さんに限って、石破さんのことを批判していたり、かつての派閥の長や総理経験者が集まって、好き勝手言っていたり…。
その古い自民党の姿にこそ「NO」が突きつけられたはずなのに、「全然変わらないんだ。自民党は古いな」と個人的には辟易するなと感じます。
石破総理の動きと自民党について、何か感じるところはありますか。
お笑い芸人 令和ロマン 松井ケムリさん:
“石破おろし”に関わっている、率先してやっている人の中に、裏金問題に関わった人もいるというのが、少しモヤっとはします。
今回の参院選のことも、全部が全部、石破総理のせいかといったら、裏金問題などもあると思うので、少しかわいそうと思うところがあります。けれども、約8割が辞めろと言っているのならば、すぱっと辞めてもいいのかなとも思いますね。
今後、総理辞任の可能性はゼロではない 最終手段「リコール規定の適用」か
高柳キャスター:
今後の動きについて、近く「両院議員総会」が行われる予定となっています。ただ、ここには議決に拘束力がないので、総理の退陣をこの場で決めることはできません。
では、石破総理は辞任することができないのか。そういうわけでもありません。
長田記者:
「両院議員総会」で議決はできるのですが、拘束力がないので、ここで決めても、総理を完全に辞めさせることはできません。
そこで最終手段とされているのが、次のステップ「リコール規定の適用」です。総裁選の前倒しを求める動きが今後出てくるのではないかという動きが見られます。
これは自民党の所属議員と都道府県連の代表者、合計の過半数の要求があれば、総裁選を臨時で実施することができます。
今、党内では“石破おろし”の動きが広がっていますので、過半数の要求はそんなにハードルが高くないのではないかという見方があります。
井上キャスター:
いま自民党内で権力闘争が行われているのか。はたまた、石破総理がトップだと何も事が進まないので、トップを変えましょうという議論なのか。どちらだと感じていますか。
長田記者:
党内によって見方はいろいろと違いはあるのですが、自民党にずっと関わってきた関係者に話を聞くと、石破総理を降ろそうとする側も、そして、この期に及んでも降りない石破総理も、どちらも良くないと。
そのような状態で、自民党が今後また国民に支持されるところに再生していく道はないのではないかと。そう危惧する声が一番の本音としてはあるのではないかなと思います。
お笑い芸人 令和ロマン 松井ケムリさん:
次の総理がどうなるのかもすごく大事ですよね。危惧されている方もいますけど、より保守に傾いていったときに、それが自民党や国にとって良いことなのか…だから、次の総理もすごく大事だなと思います。
==========
〈プロフィール〉
松井ケムリさん
お笑い芸人 令和ロマン
1993年生まれ 慶應義塾大学法学部卒業
M-1グランプリ2023・2024 史上初連覇達成
長田ゆり
TBS報道局政治部 自民党の政策を取材
柔道は黒帯 趣味は永田町のランチ開拓
・エアコン「1℃下げる」OR「風量を強にする」どっちが節電?「除湿」はいつ使う?賢いエアコンの使い方【ひるおび】
・スマホのバッテリーを長持ちさせるコツは?意外と知らない“スマホ充電の落とし穴”を専門家が解説【ひるおび】
・「パクされて自撮りを…」少年が初めて明かした「子どもキャンプの性被害」 審議進む日本版DBS “性暴力は許さない”姿勢や対策“見える化”し共有を【news23】