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ジャガイモ豊作なのになぜ?“米国産”生鮮輸入解禁の動きの裏にトランプ政権の影…「最長30年生きる病害虫」リスクと農家の危機感【Nスタ解説】

経済
2026-11-04 21:12

今年のジャガイモは、パーフェクト!産地も消費者も喜びに沸く一方で、いま、国内の生産者が危機感を募らせているのは、アメリカ産「生ジャガイモ」の輸入解禁に向けた動き。国産が好調な中、協議が進められている背景とは?


【写真で見る】“米国産”の生ジャガイモ輸入解禁 農家が懸念を吐露…


なぜ?豊作のジャガイモ“米国産輸入”議論

山形純菜キャスター:
今国会で争点の一つとなっている「アメリカ産の生のジャガイモの輸入解禁」について見ていきます。


すでにポテトチップスなどに使用されている加工用のジャガイモは輸入されていますが、今まで禁止とされていたスーパーなどで販売されている生鮮用のジャガイモの輸入解禁をめぐって協議が進められています。


実際に輸入解禁されると、どのようなリスクがあるのでしょうか。


日本のジャガイモの2025年度の自給率は62%(概算)で、2026年も豊作だということです。加工用のジャガイモは輸入で賄っていますが、なぜ今回このような議論になったのでしょうか。


2020年、第1次トランプ政権の際、一般流通用としてジャガイモの輸入解禁が要請されました。さらに、2025年の関税交渉の中でも輸入拡大を求め、農産物の一つとしてジャガイモを名指ししました。


“価格競争”と“病害虫リスク”に直面か 専門家が危惧

アメリカ政治に詳しい上智大学・前嶋和弘教授によると、「農業が盛んな州は共和党支持者が多い。トランプ大統領のアピール材料になっている」ということで、日米間で協議が進められているといいます。


ただ、ジャガイモ生産の実態に詳しい北海道大学・小林国之准教授によると、アメリカ産の生ジャガイモが輸入解禁になると、「日本では農家が価格競争と病害虫リスクに直面することになる」と危惧していました。


前嶋教授は、アメリカの中間選挙の影響はないと見ているということです。


池澤摩耶さん:
やはりリスクがかなりあると思います。しかし、そのリスクの裏にリターンがあると思うため、もし本当に輸入解禁を進めるのであれば、リターンをしっかり見せてもらわないと誰1人納得できないと考えます。


井上貴博キャスター:
アメリカとの関係性は重要だと思いますし、政権の方針としてトランプ政権とパイプを持っておく戦略も重要だと思います。


ですが、トランプ政権が永遠に続くわけではないため、NOと言うべきところはしっかり言わないと、高市総理が述べている「国益を守る」という言葉の反対に行ってしまう可能性があると考えます。


リターンの有無についてはよくわかりませんが、リターンがあったとしてもジャガイモ農家が大打撃を受けてしまう点をどう考えていくのでしょうか。


池澤摩耶さん:
現状、ジャガイモの輸入が必要かというと、62%という高い自給率があるわけですから、なぜここに踏み切る必要があるのかを明確にし、リターンも見せなければ納得する人はいないと思います。


最長30年生きる病害虫とは? 過去には北海道で発生も

山形キャスター:
日本の生産者が1番懸念しているのが病害虫です。11月現在、21種類の病害虫をリスク管理措置の協議対象としていますが、中でも警戒されているのが「ジャガイモシストセンチュウ」や「ジャガイモシロシストセンチュウ」です。


これらの虫はジャガイモの根に寄生し、生育不良を引き起こして枯死させるため、収穫量が大幅に減少してしまうおそれがあります。


専門家の小林准教授は、「この虫が寄生をすると収穫量が最大8割減もありえる」と指摘しています。また、ジャガイモだけではなく、トマトやナスなどにも寄生するリスクがあるようです。


病害虫がついているものを摂取しても人体への影響はないということですが、乾燥や寒さに強い「シスト」という殻の中で最長30年も卵が生き延びるため、1度発生してしまうと根絶が難しいといい、生産者の方も頭を悩ませる事態になります。


実際、2015年に北海道・網走市でシロシストセンチュウが初めて確認されました。どこから持ち込まれたかは不明で、他の地域に広がらないよう封鎖措置が行われましたが、11年経った2026年もいまだに使えない畑もあるそうです。


一方、JAきたみらいによると、北海道では2028年までに病害虫に強い「ゆめいころ」という品種に全て置き換える動きが出ています。この「ゆめいころ」という品種は、味や価格、生育方法は既存の品種(男爵など)と変わらないそうです。


被害を最小限に抑えられる品種に切り替えていこうという生産者の方の努力が垣間見えます。


出水麻衣キャスター:
新たな種芋に切り替えていくコストもかかりますし、今までと栽培方法が変わるとなると、農家にとっても負担だと思います。また、日本がずっと大事に改良してきた古来の品種がなくなったり、危機に晒されたりするというのは寂しい気がしますね。


山形キャスター:
小林准教授は「病害虫は管理すれば良いものではなく、“入れないことが鉄則”」で、「病害虫が混入しない流通体制を日本側が監督する必要があるが、100%リスクを取り除くことは現実的ではない」と話しています。


井上キャスター:
このような一つ一つの声が政府に届くといいなと思います。


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<プロフィール>
池澤摩耶さん
元外資系投資銀行のトレーダー
2児の母で会社経営者・投資家


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