ロシアのカムチャツカ半島近くで起きた地震で、太平洋沿岸に出されていた津波注意報はすべて解除されました。今回、日本で観測されたのは“数十センチ”の津波が多かったですが、この高さでも大人を押し流す威力があり、注意が必要です。
【検証】「何が起こったか分からない」 “ひざの高さ程度”の津波はどれくらい危険?
「10cm違うだけで力がずいぶん違う」“ひざの高さ程度”の津波に専門家警鐘
津波警報から一夜、前日に遊泳禁止だった和歌山・白浜町は海水浴客で賑わっていました。
海水浴客
「(津波注意報が解除され)みんなで『わぁ!』『やった!』ってなりました」
津波注意報は7月31日午後4時半、すべて解除されました。
30日にロシアのカムチャツカ半島で起きた地震。
日本各地に津波が押し寄せ、岩手・久慈港では1.3mを観測しました。
一夜明け、津波の爪痕があきらかになりました。
30日夜、最大40cmの津波が記録された三重・鳥羽市では、カキの養殖イカダが流され、ボートとともに折り重なっていました。
カキ養殖の漁師
「めちゃくちゃになっている。カキの絶対数は少なくなるかなと思う」
北海道・苫小牧港の沖合で待機を余儀なくされていたフェリー「商船三井さんふらわあ」は、予定より約20時間遅れて港に着きました。
下船した客
「朝早く下船できてよかった」
一方、静岡・下田市の海水浴場では、津波注意報が出ている最中に波打ち際まで行き、海に入る人の姿がありました。実は津波は数十センチでも非常に危険です。
中央大学 海岸・港湾研究室の装置で、“ひざの高さ”程度の津波を体験した記者は、水を受けるとすぐに転んでしまいます。
体験した記者
「いつのまにか流されている感じで、何が起こったか分からない」
中央大学 有川太郎 教授
「(津波の高さが)10〜20cm違うだけで力がずいぶん違う。人は流されてしまうと、どうしようもないですから、『水(津波)に遭うということが一番危ない』ということを理解していただくのが一番いい」
内陸部に集中 津波警報での人々の行動
30日、北海道では避難先の屋上で日陰やテントに集まる人の姿もみられ、猛暑の中での避難に課題が浮かびました。
避難所となる学校の体育館などには、冷房設備がないところが多く、扇風機を回して暑さをしのいでいました。
JNNのまとめでは、今回の津波避難に関連して熱中症などの体調不良者は、全国で15人に上りました。
また、各地で起きたのは、車の渋滞です。駅にはタクシーやバスを待つ人の姿も。
津波警報が出る中、人々はどう行動していたのでしょうか。
人や車の動きをスマートフォンの位置情報をもとに可視化したデータによると、観光地・江の島では、「津波警報」の発表前は人が多くいることがわかります。
しかし、津波警報が出されると、江の島から人の密集や交通渋滞を示す印が消え、海沿いも時間が経つにつれ赤い印が減少。逆に内陸部に印が集中し、人や車が一斉に避難した状況がうかがえます。
実際、この県道には車が渋滞し、長い列を作っていました。
東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔 准教授
「東日本大震災の大きな教訓として、渋滞が発生して一部の方は、残念ながら津波で犠牲になった方もいる。原則は徒歩で逃げていただくことにより、命を守ることができる確率を少しでも高めていただく」
災害時の混乱 偽動画や科学的根拠のない投稿も
また、災害時の混乱は他にもあります。
高層ビルを超える高さの波が街を襲う映像は、生成AIで作成されたとみられる偽動画ですが、SNSで200万回以上閲覧されていました。
そして、科学的根拠のない投稿もありました。
日本地図で具体的な地域を示して、「震度3〜4に注意してください」と書かれていました。
気象庁は、地震の起こる「時間」や「場所」を予測することは難しく、「地震を予知する情報はデマと考えられる」と指摘。
誤情報やデマへの注意を呼びかけています。
デマ投稿が罪に問われることも
藤森祥平キャスター:
今回も偽動画が目立ち、再生回数が200万回を超えているという状況です。
株式会社 QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
再生回数が一概に支持されたことを示すわけではないにせよ、非常にクオリティが上がってきているのが現状です。見分けはつかないものだと思った方がいいと思います。
一方で、熊本地震の際に「ライオンが逃げ出した」というような投稿をしたことが罪に問われたように、デマの投稿が罪に問われる可能性があることは、より多く知ってほしいです。
また、SNSのプラットフォーマー側の対応も急務だと思います。ぜひ、運営側にお願いしたいです。
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<プロフィール>
伊沢 拓司さん
株式会社 QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中
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