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「30年に一度のチャンス」?どうなる選択的夫婦別姓 漂流か決着か…立ちはだかる“2つの壁”【Nスタ解説】

国内
2025-06-10 20:40

国会では会期末まで残り2週間を切る中、約30年ぶりに選択的夫婦別姓の法案審議が行われています。


【写真を見る】「お墓はどうするの」“夫婦別姓”めぐる街の声


制度の導入に前向きな野党が“最大のチャンス”と意気込む中、今週、最大の山場を迎えます。


30年に一度のチャンス?  “選択的夫婦別姓”への追い風とは

高柳光希キャスター:
「30年に一度のチャンス」と注目される選択的夫婦別姓の法案審議、長年行われてきた議論に決着はつくのか。今まさにお膳立ては揃ったという状況です。

その要素として挙げられるのが、大きく分けて3つあります。


夫婦別姓推進派の石破氏が総理になっていること
▼2024年10月の衆院選で立憲民主党・国民民主党・共産党などが“選択的夫婦別姓”を公約に。さらに、選挙で与党が過半数割れに。
▼公約に掲げている立憲の西村智奈美氏が、審議の場となる「衆院法務委員会」の委員長に。


推進派としては、絶好のチャンスなのでしょうか?


TBS報道局 政治部 山本杏奈:
これだけ条件が揃ったというのは、30年に一度のチャンスということで、別姓を期待してる人たちからの期待の声というのは、ますます高まっているところです。


どれくらいあと一歩のところまで来ているのか、審議の場である「衆院法務委員会」の構成をみていきます。


【選択的夫婦別姓】衆議院法務委員会の構成(人数)

▼推進派:公明2、国民2、共産1、立憲11 (計16人)

▼慎重派:維新3、参政1、保守1、自民14 (計19人)

※委員は全部で35人/過半数となる人数は18人


上の段の「推進派」が夫婦別姓の法案に賛成の立場の会派で、下の「慎重派」が夫婦別姓の制度に反対、あるいは後ろ向きという会派です。

自民党は、はっきりと“反対”や“賛成”という立場を示していませんが、自民党が野党案に「反対する」ことはあっても、「賛成する」ことはないだろうということで、このような構成になっています。


衆議院で与党過半数割れしたため、委員会内でも野党議員の数が増えました。推進派があと2人足りず過半数に達していませんが、仮に慎重派の自民党議員のうち、2人が賛成に回ると賛成が過半数に達します。


そうなると立憲民主党、または国民民主党が示している夫婦別姓の案が可決される可能性が高いというのが現状です。


立ちはだかる2つの壁  “カギ”となるのは…

高柳キャスター:
成立の可能性はどのくらいだとみていますか。


TBS報道局 政治部 山本杏奈:
私の取材の感覚では、今のところ“20%”ぐらいだと思っています。成立に立ちはだかっている「2つの大きな壁」があります。


高柳キャスター:
1つ目の壁が野党の問題、立憲民主党と国民民主党の距離感です。

立憲民主党が提出した法案には、「選択的夫婦別姓を導入する法案」と明記されています。一方で、国民民主党の法案には、「戸籍筆頭者を定めて、選択的夫婦別姓を導入する法案」と明記されており「戸籍筆頭者を定めて」という一文が立憲民主党と異なっています。


両方の法案を見比べてみたとき、違いは「戸籍筆頭者を定める」かどうか、これについてお互いの意見は…


立憲民主党・辻元代表代行(9日)
「(国民案について)ニワトリが先かタマゴが先かという違いしかない。ほぼ同じ

国民民主党・玉木代表(3日)
「(立憲案について)立憲・国民で何かやっても進歩はない


なぜ国民民主党は距離を置いているのでしょうか?


TBS報道局 政治部 山本杏奈:
立憲民主党は独自案を出していますが、立憲の辻元代表代行としては、法案成立を優先したい。国民民主党の案に乗っかることで、野党でまとまって法案採決に臨むという手段も選択肢として考えているようです。


一方で、国民民主党は公約に“夫婦別姓の制度を導入する”ということを掲げてはいていますが、支持層の中には保守派の人が増えてきていて、夫婦別姓に反対する声が寄せられているという背景があります。


国民民主党としては、選挙前に無理やりこの法案を通して目立つよりは、世論が醸成されてからゆっくり議論していきたい。何となく議論を先送りしたいなという思惑があり、今回の採決に関しても議論が拙速だという立場をとっています。


井上貴博キャスター:
結局のところ、さほど前向きじゃないということですか?

TBS報道局 政治部 山本杏奈:
法案は出しましたが、正直なところあまり前向きではないのかなと思います。玉木代表の発言などからも、決して前向きな発言は見られないという感じです。


高柳キャスター:
もう1つの壁は与党内にあります。慎重派としていた自民党議員が、推進派に移行できるか、党議拘束の問題についてです。


自民党内では推進派と慎重派で意見が大きく分かれ、集約に苦しんでいます。現状は導入に否定的な考えを示していますが、スタンスはあいまいということです。


推進派からは、「党議拘束を外して自由投票にしてほしい」という声が上がっています。これについて石破総理は6日、「党議拘束を外すことは、死生観とか価値観の根幹に関わるもの。今回はそうであるのかどうか…」と発言していて、少し後ろ向きな姿勢です。


TBS報道局 政治部 山本杏奈:
そもそも党議拘束とは何かと言うと、委員である自民党の議員14人について、委員会の採決のときに「反対してください」と拘束をかけることができるといったものです。

委員をしている自民党議員の中にも2人~3人ほど推進派の活動をしている人もいます。しかし、党議拘束をかけられてしまうと、議員個人は賛成でも、反対票を投じざるを得ないので、可決の可能性が低くなってしまい、道のりが遠くなってしまう現状があります。


なぜ議論が進まない? 控える“選挙”も一因か

井上貴博キャスター:
名前を変える、変えないというのは不便だからどうとかではなく、アイデンティティの問題だと思います。家族の形が壊れるものではなく、柔軟にする、選択肢を増やすこと。

よく「子どもがかわいそう」という議論になりますが、いま現在も様々なパターンで、お父さんお母さんと同姓ではない子どもはたくさんいるわけです。子どもの名前をどうするかというルールをしっかりと決めればいい。

私もなぜ進まないのかが本当に理解できていないんですが、何か疑問点ありますか。


木下ゆーきさん:
まさに「なぜこんなにも進まないんだろう」というのが、そもそもの大きな疑問。政治家の人たちは、どこの顔色をうかがってこんなにも議論が止まってしまっているんですか。


TBS報道局 政治部 山本杏奈:
やはり自民党を支持している「保守派」と言われるような支持層や、国民民主党の中に増えている保守派という支持層の中には、昔からの歴史的な習慣や日本の文化をすぐに変えることに抵抗を感じる人も多くいます。

その反対の声は、我々が思っているよりも強いようで、参議院選挙前というタイミングもあり、岩盤支持層と言われる保守派の支持が離れていくことを危惧しているのが進まない原因だと思います。


出水麻衣キャスター:
世論が大きく後押しするようなことにならない限り、大きく進むことはなさそうという感じですか。

TBS報道局 政治部 山本杏奈:
そうですね。大きく議席の配分が変わったり、「選択的夫婦別姓を認めるべきだ」みたいな世論がものすごく高まると、後押しになるかと思います。


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<プロフィール>

山本杏奈
TBS報道局政治部野党担当
毎朝3歳の娘とすごろくをしてから出勤

木下ゆーきさん
タレント・子育てインフルエンサー
3児の父 子育てモノマネ動画が人気
絵本「はぶらしロケット」出版


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