物価高対策として、いま与野党で議論の中心になっているのが「減税」です。与党内からも消費税の減税を求める声があがる一方、将来にツケを回す「ポピュリズムだ」という批判もあがっています。
“消費減税” 自民党の賛否割れる
井上貴博キャスター:
参院選を前に、減税に対する議論が過熱しています。自民党は減税に対して前向きな議員もいれば後ろ向きな議員もいて、賛否が分かれています。
自民党の参議院議員に対するアンケートでは、「トランプ関税や物価高に緊急に実施すべき対策は?」という質問に対し、▼給付金、▼減税措置、▼エネルギー価格高への支援処置、などの意見が出てきました。参院幹事長の松山政司さんは「食料品などの消費税の減税を求める意見は非常に多いと感じる」と話しています。
TBS報道局政治部 室井祐作デスク:
自民党内でも本当に賛否が分かれています。森山裕幹事長は財政規律派なので、「財源に裏づけがない減税政策をすると日本の信用を失ってしまう」ということで、減税を主張するグループに釘を刺している状況です。そのため参院選に向けて、減税派グループが今後どれだけ声高に訴えてくるかが一つの焦点だと思います。
ですが、減税をするのであれば財源はどうするんだという議論は当然出てくると思います。そもそも消費税は、年金、医療、介護、あるいは全ての子育て支援の社会保障費に充てられています。減税すると失う財源がどれほどあるのかという試算は、以下のようになっています。
▼消費税率 食料品など0% 年間5兆円の税収減
▼消費税率 一律5% 年間15兆円の税収減
“消費減税” 各党の考えは?
TBS報道局政治部 室井デスク:
▼公明党 減税と“つなぎ給付”
▼立憲民主党 時限的な食料品の消費税0%が多数
▼日本維新の会 2年限定で食料品の消費税0%
▼国民民主党 時限的に消費税一律5%
公明党は、減税があくまで柱だとしています。しかし減税をするには法整備などに時間がかかるので、そのつなぎとして現金給付を主張しています。つなぎ給付の財源については、「赤字国債を材料とした検討もありうる」と斉藤代表は話しています。
立憲民主党は党内で意見が割れていますが、22日の党内の議論で3案にまとまりました。その中で一番多かった意見が「時限的な食料品の消費税0%」で、今後は執行部が判断することになります。22日の段階では党としての財源は示されませんでしたが、野田代表は「財源を考慮しない減税策は政策ではない」と言っているので、立憲民主党としては、今後財源についてしっかり明示していくという方針になると思います。
日本維新の会は、「2年限定で食料品の消費税を0%にする」と発表しました。財源について吉村代表は「税収増加分で財源を確保できる」と話しています。
国民民主党は、「時限的に消費税を一律で5%にする」と主張しています。この「時限的」というのは、安定的に持続的に、実質賃金がプラスになるまでということと言っています。今回はアメリカの関税措置などもあり短期的な景気対策として考えているのであって、あくまで恒久的な財源は不要だとし、玉木代表は「赤字国債を堂々と発行してやればいい」と主張をしています。
井上キャスター:
確かに消費税減税というとインパクトがありますが、聞こえのいいことばかり言っていても仕方がない、財源はどうするんだという声もあると思います。最近、税収が増えているんだから、その分を国民に返すのは当たり前じゃないかと言う人が、日本維新の会を含めています。この辺りの納得感はどう捉えればいいですか?
TBS報道局政治部 室井デスク:
減税をするには恒久的な財源が必要だと思います。税収の上振れ分はあるかもしれませんが、それは恒久的な財源とは言えません。そのため、今日本にある社会保障を維持するためには、どういった財源が必要なのかというのもセットで議論すべきだと思います。
井上キャスター:
もう少し、先々も見た中での議論が必要だろうということですね。
もともとは給付金にするか減税にするかと言われていて、今は減税がどうなるのかと言われています。まずは物価高対策なのであれば、食料品の軽減税率を減らす・ゼロにする、これはあってしかるべきだと思うんですが、どのように感じますか?
いとうまい子さん:
私たちが普段、消費するものに対しての減税をしてもらえるのが、一番ありがたいです。意外と地方で減税したら、逆に税収が増えたというところもありますから、そういった意味では勇気を出してトライしてみてもいいんじゃないかなと思います。
財政規律派の森山幹事長が「信用なくすから」と言っていますが、誰に対する信用かなと感じます。国民がこんなに困っているのだから、まずは国民の方を見てほしいです。信用をずっと守っていると国民目線じゃなくなると思うんです。だから、国民のことも見てもらいたいなと思います。
井上キャスター:
財源が足りないという話になりますが、税金が下がったことで消費が喚起されて、それによって税収が増えるという議論はあまり出てこないんです。財源が少ないという議論ばかりになっています。増える方の試算を出してくれという声も挙がってきますよね。
出水麻衣キャスター:
何が起こるのかを全て提示した上で判断していきたいです。どうしても選挙の時期にこのような議論が出ると、「選挙対策じゃないか」と穿った見方をしてしまいますが、冷静に見極めるチャンスをいただきたいなと思います。
井上キャスター:
たとえ選挙対策であったとしても、それが議論として成熟していけば、投票行動という形で国民が意思を示せます。それが一つ大きなターニングポイントになるのかなという気もします。
TBS報道局政治部 室井デスク:
今後、参院選に向けて野党だけでなく与党側からも減税の圧力は高まると見られるので、社会保障を維持するために、財源とセットで議論していく必要があると思います。
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〈プロフィール〉
室井祐作
TBS報道局政治部デスク
元官邸キャップ
過去石破氏の番記者を担当
いとうまい子さん
俳優・経営者
1983年アイドル歌手としてデビュー
45歳で早稲田大学に入学
今年度から大学教授に就任
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