【第2回 発酵アワードグランプリ】伝統を未来の価値へ!食薬の視点で選ばれた注目の発酵プロダクトと「台所薬局」実践法
2026-08-10 17:33:10

近年、健康意識の高まりとともに注目を集める「食薬」。漢方の伝統的な知恵と現代の予防医学・科学的根拠(エビデンス)を融合させたこのアプローチにおいて、極めて重要な役割を果たしているのが「発酵」と「旬の食材」だ。
今回、食薬学研究会(代表:大久保愛氏)が主催する「第2回 発酵アワードグランプリ」の受賞結果が発表された。本アワードは、伝統的な発酵技術に科学、デザイン、生活者視点を取り入れ、現代の暮らしに新たな価値をもたらす製品や取り組みを顕彰するものだ。
ここでは、グランプリ受賞製品の魅力とともに、食薬の考え方に基づいた日常での取り入れ方や実際に試食もしてきたので紹介する。
漢方の「生体観念」と発酵・微生物の役割

年間2,000人以上の漢方相談経験をもとに、漢方・栄養学・腸活を組み合わせた「食薬」を提唱する大久保愛氏は「漢方には、体の一部だけでなく全身のバランスや周囲の環境(季節・ストレス・生活リズムなど)との関連性を捉える『生体観念』という根本思想があります。そして、この生体観念の重要なカギを握っているのが『微生物(発酵)』の存在です。その土地や季節に宿る微生物は、食材を発酵させて旨味や栄養を高め、それを口にする人間の腸内環境を整えて健康へと導きます。つまり発酵とは、人・食・地域・自然をゆるやかにつなぐ、生活に欠かせない架け橋なのです」と発酵の大切さを語り今回、受賞したアイテムの発表を行った。
第2回 発酵アワードグランプリ 受賞一覧
【発酵調味料部門 グランプリ】

製品名:酢の粕(すのかす)
受賞企業:株式会社とば屋酢店
特徴:1710年創業の老舗酢蔵が、壺仕込みの米酢造りで生まれる副産物「酢の粕」を商品化。液体の酢では難しかった「塗る・のせる・和える」といった調理表現を可能にし、120gのスパウトパウチで日常に取り入れやすく再設計されたアップサイクル調味料
【発酵フード&ドリンク部門 グランプリ】

製品名:FLORE KOJI DRINK
受賞企業:株式会社コラゾン
特徴:大豆麹、押麦麹、米麹をそれぞれ果実と組み合わせた3種類の麹ドリンク。精密栄養学の考え方をヒントに、その日の気分や生活シーンに応じて選べる設計となっており、砂糖不使用・ノンアルコールの飲み切りサイズで日常に取り入れやすい
【発酵コスメ部門 グランプリ】

製品名:コメラボ 日本酒酵母エキス
受賞企業:株式会社福光屋
特徴:1625年創業の酒蔵が誇る独自酵母「FT15」を使用した導入美容液。アミノ酸を作り出す能力に着目し、水・植物由来BG・酵母エキスのシンプル処方で「伝統×科学」を体現している
【発酵テロワール部門 グランプリ】

取り組み名:「HINAI75」を起点とする地域資源活用
受賞企業:本家あべや
特徴:秋田県大館市の「ひないフードファクトリー」を拠点に、比内地域の鶏・水・米麹を生かした研究・商品開発を展開。丸鶏煮出し原液「HINAI75」などを通じ、地域の風土と食体験を未来へつないでいる
【発酵アイデア部門 グランプリ】

製品名:GOHOBI SATONISHIKI IPA
受賞企業:アグイット株式会社
特徴:味は良いものの果肉の軟化で流通できなかった完熟「佐藤錦」を特殊冷凍し、クラフトビールへとアップサイクル。食品ロス削減と農家の持続可能性を同時に解決する革新的な取り組みを行っている
【特別賞】

製品名:海玉膏(かいぎょくこう)
受賞企業:株式会社ウチダ和漢薬
特徴:ナルコユリの根茎やクコの実など8種の和漢素材エキスを発酵させ、てんさいグラニュー糖や蜂蜜を加えた持ち運びやすいスティックタイプのペースト状健康食品
食薬の進め!自宅の台所を「薬局」に変える2つの習慣
こうした優れた発酵製品を日常に活かし、体調を整えるために意識したいのが「台所薬局」のアプローチだ。特別なことではなく、次の二つを気をつけるといいと大久保氏は話す。
旬のもの・五色の食材を取り入れる

旬の時期に採れた野菜を食べることは、その季節に必要な栄養を効率よく体に取り込むことにつながる。また、漢方の五行説に基づき、食卓に「青(緑)・赤・黄・白・黒(紫)」の5色を揃えることで、体内の「肝・心・脾・肺・腎(五臓)」のバランスが自然と整っていく。夏場であれば、オクラ・トマト・カボチャ・ズッキーニ・ナスなどの夏野菜をカラフルに組み合わせるのがおすすめ。
2. 調味料を見直す、「本物」に置き換える
今回のアワードでも評価されたような伝統的で丁寧な製法で作られた発酵調味料(酢・醤油・味噌・みりんなど)は、本来の旨味が強く、乱れがちな現代人の味覚を正常に戻す働きがある。添加物や人工甘味料に頼った調味料から、確かな製法で作られた発酵調味料や乾物(昆布・椎茸・鰹節など)へ切り替えることで、甘いものや油脂への依存的な食欲が抑えられ、ミネラルやアミノ酸を自然な形で補給できるようになる。
受賞アイテムと旬の食材を実食

今回、発酵アワードグランプリ体験会では実際に受賞したアイテムを試食できた。酢の粕はストレートで味わうとしっかりと酸味を感じる。今回は大久保氏が旬の野菜にディップできるように3種類のディップを酢の粕を使用して作ってきてくれ、これがまた美味しかった。
・お味噌ブレンド:一転してコクが深まり旨みが引き立つ
・トマト&スモークパプリカ:旨みたっぷりのトマトにスモークパプリカが加わり、さっぱりとした味わいに
・カレー風味:練りごまとニンニクパウダーが入っており、酢の酸っぱさをほとんど感じさせない
全体にオリーブオイルを合わせることで口当たりが滑らかになり、野菜がパクパク進む美味しさ。このようにアレンジして使うと毎日、食卓にも取り入れやすいし、子供にも喜ばれそうだ。

FLORE KOJI DRINKは砂糖不使用とは思えないほど。「いちご」はまるでジャムを入れたようなフルーティーな甘さが広がる。子供でも大喜びで飲めそうな味わいだ。「りんご」は後味がすっきりとしていて爽やか。「もも」はまろやかな豆乳のようなコクがあり、大豆麹の風味がしっかりと感じられた。

GOHOBI SATONISHIKI IPAは一口飲むとしっかりとした甘味が広がり、まるでシャンパンのような華やかさがあった。さくらんぼのフルーティーな風味がビールの持つ独特の苦味を消してくれるため、ビールが苦手な人にもおすすめできる一杯だ。

海玉膏は「漢方」特有のクセや苦味がなく、甘くて驚くほど飲みやすかった。そのままチュッと袋から飲むのはもちろん、ヨーグルトにかけると上質なシロップのようになり、これなら毎日続けられると感じた。発酵ということで腸活にもおすすめなのと、昔ながらの製法で作られている貴重さも魅力的だ。
体の「違和感」に気づくことが最高の予防
「食薬」の真骨頂は、日々の小さな変化、サインに気づくことである。
・夕方になると細かい文字が見えづらい
・物忘れや食後の強い眠気がある
・朝起きると喉が乾燥して咳が出る
・舌の苔が増えたり、むくみで歯型がついている
こうした些細な体のSOSに気づいたときこそ、グランプリに輝いたようなこだわりの発酵プロダクトや旬の食材を使った優しい食事で体を労わりたいところだ。特別な薬を買い求めなくても、毎日の台所から体調を整える習慣こそが、未来の健康を作る第一歩となるのだろう。
情報提供元: マガジンサミット