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米・イラン戦闘終結に向けた「覚書に署名」 トランプ大統領は成果を強調も“イラン寄り”ともいえる内容…署名に至った背景とは【news23】

海外
2026-06-19 13:42

アメリカのトランプ大統領は18日、イランとの戦闘終結に向けた、全14項目の覚書に正式に署名しました。トランプ氏は成果を強調していますが…。覚書の内容については“イラン寄り”という見方も広がっています。それでも、署名に至った背景とは。


【写真で見る】「決して簡単ではなかった」 “覚書”に署名するトランプ大統領


米・イラン首脳が「覚書」に署名

談笑しながら宮殿を出た両首脳は、迎えの車の前で立ち止まり、別れを惜しみました。ただ、詰めかけた記者たちの関心は、別のところにあります。


トランプ大統領
「(Q.覚書に署名は?)今、署名した。ベルサイユで」

署名の場となったのは、フランスのベルサイユ宮殿です。

トランプ大統領
「決して簡単ではなかった」

イランとの戦闘終結に向けた覚書に署名したトランプ大統領。そして、イラン側も…


イラン バガイ報道官
「覚書は双方の署名を経て、正式に成立し、最終確定した」

ペゼシュキアン大統領が署名する様子を公開。覚書が正式に発効したと明らかにしました。


トランプ氏はG7サミット後の記者会見で…

トランプ大統領
「すべての国がイランとの合意を歓迎する声明を出している。彼らは戦闘の終了を望んでいた」

全14項目からなる覚書。どういった内容なのでしょうか。


アメリカ側が明らかにした全文によると、両国はレバノンを含むすべての戦闘を終結。最大60日の交渉期間中に最終合意を目指すとしています。

焦点となっていた核問題については。


覚書(アメリカ側公表)
「イランが核兵器を調達、または開発しないことを改めて表明する」

イランが核開発を放棄するとしたうえで、貯蔵している高濃縮ウランをIAEA=国際原子力機関の監督のもと、現地で希釈、処分するということです。


ただ、トランプ氏が求めていたアメリカへの引き渡しは明記されていません。

そして、ホルムズ海峡に関しては、署名後60日間、イランが商船に対し、無償で安全な航行ができるよう努めるとしたほか、アメリカ軍による封鎖措置は30日以内に終了するとしています。


そして、イランが合意を履行すれば、資産の凍結を解除することも盛り込まれました。


トランプ大統領
「もし、合意していなければ、あと3週間、2週間、4週間、2年にわたり、爆弾を落とし続けることもできた。ホルムズ海峡が開放されることは決してなかった」

トランプ氏は成果を強調しますが、覚書は、“イラン寄り”ともいえる内容が目立ちます。

今回の署名について、与党・共和党内からは、批判の声が上がっています。


共和党 ビル・キャシディ上院議員
「これは、ここ数十年で最悪の外交政策上の失策だ」


一方、イラン側は「アメリカが合意を履行しない場合、イランも履行しない」「厳しく監視していく」と強い警戒感も示しています。

トランプ氏も、イラン側をこうけん制しました。


トランプ大統領
「60日以内に最終合意がまとまらなくてもかまわない。再び爆撃するだけだ」


なぜ“イラン寄り”の内容に?

小川彩佳キャスター:
署名に至った今回の覚書ですが、イラン側に有利な内容になっているようにも思います。


【14項目の覚書 ポイント】
▼戦闘
即時かつ恒久的に終結
▼核問題
イランは核開発・購入をしない、濃縮ウランは現地で希釈・処分
▼ホルムズ海峡
アメリカ軍による封鎖は30日以内に終了
▼石油
アメリカはイランの石油輸出の制限を解除


なぜアメリカ側がここまで譲歩する形となっているのか、覚書の署名式が行われるスイスのビュルゲンシュトックの近郊にいるワシントン支局の涌井さんに聞きます。


ワシントン支局長 涌井文晶さん:
トランプ政権としては、当初は体制転換あるいはイランの核開発の将来的な完全な放棄を目指して攻撃を始めましたが、最高指導者のハメネイ師を殺害しても状況は変わらず、その後空爆を続けても体制は崩壊していません。

そうした中で、ホルムズ海峡の封鎖という逆襲を受けて苦しくなってきて、経済的な圧力をかけても事態が打開できない。どうすればいいんだとなって、交渉で大きく譲歩し、現在の地点にいると言えます。


そして、なぜこのタイミングになったのかと言いますと、11月に重要な中間選挙が国内で控えているからです。

今、アメリカはホルムズ海峡封鎖の影響でガソリン価格が大変高くなっていて、有権者の財布を直撃している状況です。このまま選挙に突入すれば、「トランプ大統領のせいでアメリカの生活は苦しくなった」と民主党に攻撃されて選挙で負けてしまうことになります。

ホルムズ海峡解放が実現しても、ガソリン価格が実際に下がるまでは時間がかかるとも考えられているので、ここがギリギリだったと見られています。


小川キャスター:
譲歩せざるを得なかったということですね。アメリカ側が掲げていた核開発をめぐる課題も先送りされました。多くの民間の人も巻き込んで子どもたちも多く命を落とした今回の戦争ですが、何をもたらす戦争だったのか、非常に疑問を持ちます。


斎藤幸平さん:
何ももたらさなかったし、何のための戦争だったのかなという感じです。

世界中を原油危機の混乱に陥れて、最終的に得た内容はオバマ政権の時の核合意よりも後退してるのではないかという話です。

さらに、日本に対して、復興資金の3000億ドルなど負担を求められることもあり得るので、それは勘弁してほしいなと思います。


藤森祥平キャスター:
アメリカ側としてはこの政策が失敗なのではないかという声も聞かれますが、今後60日間で覚書の最終合意を目指す中で、ホルムズ海峡を巡った通行料のあり・なしなどの隔たりは埋まりそうですか。


ワシントン支局長 涌井さん:
なかなか難しいのではないかと見られています。アメリカでは「戦闘では勝利したが、戦略的には失敗だった」という総括があります。これ以上アメリカが譲歩すると世論的にも厳しい状況ではありますが、なかなか埋まりづらいと考えられています。

そして通行料について、イラン側は今後60日間は無償で通航させると覚書にも書いてありますが、その後については書いてありません。


そしてイランは、「通行料」ではなく「サービス料」という名目で新たに課そうとしています。これは実質的には通行料と変わりませんし、そうなると戦争の前より状況は悪くなるということです。

そういう中でアメリカが妥協点を見つけられるか、今答えは見つかっていないところです。


藤森祥平キャスター:
イスラエルをコントロールできるかも問題ですね。


斎藤さん:
レバノンなどの話も含まれているので、これをイスラエルがそのまま黙って受け入れるとは思えません。60日間やってみた中で、合意を破る行為がいろいろなところで繰り返され、最終的にはまた戦闘が始まるという可能性も準備しておかなければいけないと思います。

小川キャスター:
結果として本当に逆戻りするというリスクをはらむわけですね。

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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授
専門は経済思想・社会思想
新著にベストセラーの続編『人新世の「黙示録」』


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