ライオンにゾウ…サーカスなどで観客を魅了する動物たち。
しかしいま、伝統の形が変わりつつあります。動物愛護の観点から、変わる形を見ていきます。
ライオンがロボットに!?サーカス団の新たな試み
イギリスで209年続く、老舗のサーカス団「パウロス・サーカス」。
現れたのは、ライオンに似せたロボット「アイオン」。ピエロとハイタッチをすると、目の前のフラフープを見事にくぐり抜けます。
さらに、逆立ちも披露。
2018年から2020年にかけて、イギリスでは動物愛護の観点から法律が施行され、一部のサーカスでライオンやゾウなど野生動物を出演させることが禁じられています。
「伝統を未来へつなぎたい」。
パウロス・サーカスは古き良き時代のサーカスの魅力を感じてもらうため、1年近く試行錯誤したといいます。
パウロス・サーカス ケニー・ダーネル代表
「かつてサーカスに欠かせない存在だった懐かしい動物の存在を取り戻したかった。そういう形でサーカスの伝統にまた息を吹き込むことができた。みんなが楽しんでくれたら嬉しいよ」
観客を魅了する動物に変化 新たな魅力と技術とは?
南波雅俊キャスター:
世界55の国と地域で、サーカスへの動物の出演が条例や法律で禁止されています。
ドイツでは、約90の都市でサーカスへの動物の出演は禁止されています。その中でも、サーカス団「ロンカリ」は、2018年からすべての演目で動物を出演させていません。
ただ、サーカスで子どもたちを魅了するために、動物は欠かせない存在だったということで、「3Dホログラム」で登場させています。11か所から機械で光を当てて、動物を映し出しているそうです。
動物がいないことも新たな魅力になり、観客からは「動物がいなくても見事なアクロバットだ」という声もあるということです。
かつて動物が出演していた頃は、色々な課題もあったそうです。
「動物がサーカス団と一緒に各地に移ることが負担になっている」「都市部で開催する場合、大きな象をどこに囲い、運動させておくのか」などといったことが大きな課題になっていたそうですが、ホログラムでそれも解決したということです。
超リアル!イルカもロボットに!?
南波キャスター:
サーカスだけではありません。
水族館で使われることを想定していますが、アメリカの会社が開発した「イルカ型ロボット」は、内部にイルカの骨格や筋肉構造を模した、複雑なメカニズムが組み込まれています。
人による操作とAIを組み合わせて、自然な動きを再現できるそうです。
「エッジイノベーションズ」というアメリカの企業が開発したロボットですが、元々この会社では、映画などで使われるようなものを開発しており、「エンタメで使われていたものを水族館でも活用できないか」と転用したということです。
イルカ型ロボットの寿命は約10年、バッテリー稼働は最大10時間。イルカの飼育や調教は一切不要です。
今後、サメやクジラなども開発していく予定になっています。
世界遺産でも伝統に変化
南波キャスター:
ヨルダンの世界遺産「ペトラ遺跡」は“岩の芸術”とも言われていて、綺麗で1日では見て周れないぐらい広大で歴史のある遺跡です。
2019年時点では、遺跡を見学するのは馬車が主な手段でしたが、現在では、電動カートになりました。
その背景は、馬車の車輪が渓谷の岩壁に当たるのを防止する目的でした。電動カートにしたことによって、障害のある方や高齢者も訪れやすくなりました。
馬車の方が風情があると思ってしまいますが、電動カートのメリットもあり、岩の間を通っていくときにぶつかってしまい、遺跡に傷をつけてしまうということを解決できているということです。
世界の動物愛護に詳しいアニマルライツセンターの岡田千尋代表は、「歴史や伝統の中で動物が必要とされてきたが、動物の保護・保全の観点からは、形を変えていくべきではないか」と話していました。
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