“働き方のイマ”に注目する「work23」です。机にパソコン、社長室も揃ったオフィスですが、実は「作りモノ」。失業した人が“出勤するフリ”をするための「出勤偽装会社」がいま、中国で注目を集めています。
【写真で見る】「社長室」と書かれたドアを開けると…非常階段!?
「出勤偽装会社」若者に人気 オフィスにはネコも…
北京郊外にあるビルの一角。平日の午前中、数人の若者がパソコンに向かい、黙々と作業しています。会議室やライブ配信用の機材も完備しています。
一見、どこにでもあるオフィスの風景ですが…
利用者
「(Q.失業中ですか?)はい、まだ仕事が見つかっていません」
オフィスが入るビルの窓ガラスには包み隠すことなく、“偽装出勤”の文字が…
こちらは、職を失った人たちがまるで会社に勤めているかのような気分になれる施設なのです。
利用者
「SNSで出勤するふりができる場所があると知り、面白そうだと思いました」
失業中でも人とのつながりを求める人や、周囲に失業していることを知られたくない人の間で需要が高まっています。
記者
「こちらのオフィスには『社長室』と書かれた部屋がありますが、ドアを開けると非常階段になっています」
「ユーモア」も取り入れたオフィス。
施設の使用料は昼食がついて1日およそ1000円。軽食や飲み物は無料です。さらに猫も放し飼いにされていて、失業した人たちの心を癒してくれます。
今年6月にオープンしたばかりですが、20席以上あるスペースが日によっては満席になる程の人気ぶりです。特に若い世代の利用が目立っています。
深刻化する中国の就職事情
背景には深刻化する中国の就職事情があります。
中国の7月の若者の失業率は17.8%。大卒者のおよそ『半分』が就職できず、雇用情勢は厳しさを増しています。
利用者は次のステージを見据え、一時的な「居場所」として活用しています。
こちらの女性は大学院を出たものの就職することができず、現在は就職活動中です。
利用者(26歳・女性)
「安定した仕事に就きたいんです。ここは周りに多くの人がいて、寂しくない感じがします」
現在、失業中だという別の利用者は…
利用者(24歳・女性)
「自宅だと怠けてしまいますが、ここなら会社にいるように規則正しく過ごせます」
利用者にとっては、社会との接点がもてる、なくてはならない場所なのです。さらに就職や起業に向けた相談会などのサービスもあります。
この施設を立ち上げた社長自身もかつて失業を経験しました。
社長は“失業中でも殻に閉じこもるのではなく、その期間を人生のステップアップに繋げてほしい”と訴えます。
出勤偽装の会社を運営 朱冠霖社長
「出勤するふりをしたとしても、それは逃避ではなく、この時代の価値観を受け入れるための前向きな選択なのです」
失業している自分を『偽装』して景気低迷を乗り切る。たくましく前を向く中国ならではの新しい知恵なのかもしれません。
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