
戦後80年プロジェクト「つなぐ、つながる」です。80年前、長崎に落とされた原爆で大破したカトリック教会の鐘が復元され、公開されました。そのプロジェクトを率いたアメリカ人の思いを聞きました。
先週末、長崎市で公開された教会の鐘。
「思ったより大きくて、すごいなと思いました」
かつて「東洋一の大聖堂」と呼ばれた浦上天主堂は、アメリカの原爆によって倒壊しました。2つの塔には、大小一対の鐘が吊るされていましたが、うち1つが大破しました。
80年経った今年、その鐘が復元されたのです。
長崎大司教区 中村倫明 大司教
「アメリカのカトリックの皆様方が復元し、寄贈してくださるということは、全世界にとって大きな意義がある」
アメリカ東部のウィリアムズ大学。鐘の復元プロジェクトを率いたのが、ノーラン教授です。
ジェームズ・ノーランJr.教授
「ここはロスアラモスです。これが祖父ですね」
ノーランさんの祖父は、アメリカの原爆開発「マンハッタン計画」に携わったひとりです。放射線研究の医師として、1945年、原爆投下からおよそ1か月後に広島と長崎に入り、被害を調査しました。
戦後、ずっと口が重かった祖父。ある時、戸惑いながらも被爆地の様子を家族へ語ったといいます。
ジェームズ・ノーランJr.教授
「想像を絶するほどの破壊だったと語っていました。祖父は苦しんでいたと思います。原爆による放射線などで人々が死んでいくのを目の当たりにしたのです」
原爆がもたらした被害と自身の関わりの間で葛藤した祖父の足跡を調べようと、ノーランさんは長崎を訪問。2年前に出会ったカトリック信徒から鐘の復元を相談されました。
ジェームズ・ノーランJr.教授
「彼は鐘の復元は、悲しみ、許しと、関係を修復したいという願いを表す、とても意味のある行為だと考えていました」
ノーランさんは、原爆の惨禍を「許す」という姿勢に強く感銘を受けたといいます。
全米各地を回りながら、被爆者の苦しみなどを伝え、寄付を集めて鐘を復元しました。また、大学では、アメリカでは滅多に伝えられない原爆被害者側の視点を伝えています。
学生
「私たちの世代が歴史の両面を学ぶことが、第二次世界大戦のような戦争を防ぐために重要になってくると思います」
ノーランさんらの思いをのせた教会の鐘は、今年8月9日、80年ぶりに2つ揃い、長崎の町に音を響かせます。
ジェームズ・ノーランJr.教授
「(鐘には)悲しみ、許しと和解への願い、連帯の思い、そして平和と希望のメッセージが込められているのです」
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