6月3日、韓国で大統領選挙が行われ、李在明新大統領が就任しました。
【写真で見る】政治的に考えが違う人とは「恋愛・結婚できない」と答えた人の割合は?
夢は「殴られずに暮らす」 貧しい生い立ち
1963年、地方の農村で7人兄弟の5番目として生まれた李在明氏。
家計を支えるため、小学校卒業後から年齢を偽って工場で働きました。日常的に暴力を受ける環境で、誤って機械に挟まれた左腕には今も障がいが残っていると言います。ただ当時、こんな夢を書き留めていました。
一.他人に殴られずに暮らす
二.お金を稼ぎ貧乏から抜け出す
三.縛られず自由に生きる
中学・高校には通えず、独学で検定試験を経て大学に進学し、その後、弁護士となりました。
政治家に転身後、ついたあだ名は「サイダー」。
その由来は、知事の時に“地域通貨を支給する”といった思い切った政策の実行力。そして、世論の関心の高い問題で政府をズバズバと批判する舌鋒の鋭さ。
これが炭酸飲料のように、見ていてスカッとするということから「サイダー」と呼ばれるようになったそうです。その人気を背景に2022年の大統領選に出馬しました。当時の尹前大統領との対決では僅差で敗れましたが、今回その雪辱を果たした形です。
保守と革新の“分断”が先鋭化
そもそも韓国の政治は常に、軍事政権をルーツとする右派の「保守」と民主化運動をルーツとする左派の「革新」という対立軸があります。
尹前大統領と李在明氏の支持者の間では、この対立が「分断」と呼ばれるまでに先鋭化しました。
例えば日韓関係では、尹氏が徴用工問題で韓国世論の反発を押し切って日本に譲歩し、関係改善に大きく舵を切りましたが、これを李在明氏は「対日屈辱外交」だと批判しました。また、北朝鮮をめぐっては、李在明氏は「対話路線」ですが、尹氏は「強硬路線」をとり、いわゆる戒厳令を出した際には北朝鮮と共に「国家転覆を謀っている」として李在明氏が率いる野党を攻撃しました。
内政問題では、女性政策も対照的です。尹氏が女性を支援する女性家族省の廃止を訴えたのに対し、李在明氏は拡充を主張しています。
このように2人が両極端な主張で敵対したことを背景に、2025年2月の調査では「保守と革新の分断が深刻である」と答えた人は実に92.3%に上っています。
分断は若者の“恋愛観”にも影響か
分断は、若い男女の間でより顕著になっています。今回の大統領選で、29歳以下を対象にした出口調査では、女性の6割近くが李在明氏に投票しましたが、男性は2割ほどにとどまり、7割以上が保守系の対立候補に投票していました。
そんな分断は若者の恋愛観にも影響を与えているようです。ネット上では政治信条を判定する「政治テスト」が流行していて、ある調査では6割近くの人が政治的に考えが違う人とは「恋愛・結婚できない」と答えています。
「分断の政治を終わらせる大統領になる」と話した李在明氏。政治によってつくられた分断を解消できるのでしょうか。
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