キリスト教カトリックの総本山であるバチカンの大聖堂に、教皇フランシスコのひつぎが安置されました。3日間、一般に公開されますが、最後の別れをしようと大勢の人たちが世界中から集まっています。
【写真を見る】教皇の居室に座が空いたことを知らせる赤いリボン
「開かれた教会」を掲げ…“改革派”教皇の絶大な影響力
教皇フランシスコの遺体が納められた柩が、 “祈りの場”であるサンピエトロ大聖堂へと運ばれます。集まった人々は祈りとともに、その旅立ちを静かに見送りました。
21日、88歳で亡くなった教皇フランシスコ。
“祈りの声”は遠く離れた日本でも…
記帳に来た人
「貧しい人や弱い方の味方になってくれる方だと思っていた。仕事の帰りにどうしてもひとことお礼を言いたくて来た」
記帳に来た人
「(任期が)12年という短い間だったが、いろんなことを教えてもらった。これからは教えてもらったことを忘れないで、弱い立場の方にも寄り添えるカトリック信者になっていきたい」
教皇は何を訴えてきたのでしょうか?
フランシスコ教皇(2013年)
「世界の人々のために祈りましょう」
中南米出身者として初めて教皇に選ばれ、バチカンの改革に取り組んできました。
教会がタブーとする離婚や同性愛などに、比較的寛容な姿勢を見せ「開かれた教会」を掲げました。
フランシスコ教皇(2023年)
「神は私たちをありのままに愛し、私たち一人一人が自分の尊厳のために戦う力を愛してくださっています。同性愛者であることは犯罪ではありません」
核兵器の廃絶も訴えてきました。
フランシスコ教皇(2019年)
「核兵器から解放された平和な世界は、あらゆる場所の数え切れない人々が熱望するものです」
2014年にイスラエルとパレスチナを訪問した際は、双方を分断する壁を訪れ、壁に手をあて静かに祈りを捧げました。
ロシアによるウクライナ侵攻に抗議し、トランプ大統領の移民送還計画については、度々批判の声を上げていました。
フランシスコ教皇(2月の書簡より)
「貧困や迫害などで故郷を離れた人々を送還する行為は、多くの男女や家族の尊厳を損ない、非常に弱い立場に追い込みます」
常に弱い立場の人々に寄り添ってきた教皇の葬儀は26日に執り行われる予定です。
次の教皇を選ぶ準備も静かに始まっています。
次の教皇を選ぶ、秘密選挙「コンクラーベ」とは?
教皇の居室の扉に巻かれた赤いリボン。その上から、蝋が施され、扉は閉ざされます。これは、教皇の座が空いたことを知らせる、古くからのしきたり。
教皇の死去から15日~20日以内に、新たな教皇を選ぶ「コンクラーベ」と呼ばれる 選挙が行われることになっています。
新しい教皇は通常、教皇に次ぐ地位の聖職者「枢機卿」から選ばれます。
投票はミケランジェロの「最後の審判」が描かれた、「システィーナ礼拝堂」で実施。いま、日本で公開されている映画「教皇選挙」でも、 この「コンクラーベ」の舞台裏が描かれています。ラテン語で“鍵がかかった”という意味の「コンクラーベ」。新しい教皇が決まるまで、枢機卿たちは外部との接触を絶たれ、完全非公開のもと投票を行います。
その結果は、外部には“煙”で知らされます。白い煙が上がれば「選出」、黒い煙なら「再び投票」が繰り返されます。
今回は135人の枢機卿が参加し、そのうち3分の2以上の票を得た者が新教皇に。日本からも前田万葉枢機卿と、菊池功枢機卿の2人が「コンクラーベ」に参加します。
日本大学国際関係学部 松本佐保教授
「『自国中心主義』をアメリカが掲げるなかで、途上国への援助金が削減されている。そういうこと(援助)に積極的なローマ教皇が誕生することが望まれている。フランシスコ教皇はどちらかというと改革派だったので、改革派と保守派の互いの駆け引きがあるのではと言われている」
“完全密室”での教皇選挙の知られざる内情
藤森祥平キャスター:
「コンクラーベ」と呼ばれる教皇の選挙。これまで最も長くかかった時間は約3年です。
1268年(日本は鎌倉時代)のクレメンス4世の死去後に始まった選挙は、なかなか決まらなかった。空位が長くなると社会不安に繋がるので、当時の人たちは枢機卿たちを宮殿に閉じ込め、鍵を閉めて選挙に専念させたと言われています。それが今の選挙「コンクラーベ」の原型になっていると松本教授は言います。
株式会社QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
教皇がなかなか決まらない時、決定を促すために徐々に食事の回数と量を減らしたそうです。それだけ大事な決め事であり、揉める決め事でもあることがわかると思います。
トラウデン直美さん:
一つの国の国王が亡くなるのとは違って、世界中に信仰者がいるので影響力も世界中に広まっていくと思うと、確かに重要な選挙だと改めて感じました。
小川彩佳キャスター:
カトリック教徒ではないが、フランシスコ教皇のお言葉や発信には度々心を動かされてきました。特に、「壁ではなく橋を築け」というメッセージは、今のような分断を煽るリーダーが目立つ世の中において、強く響く言葉だと思います。そうした精神は次の教皇にも受け継がれてほしい。
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<プロフィール>
伊沢拓司さん
株式会社QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行
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