
第29回手塚治虫文化賞贈呈式が行われ、アニメーション監督のりんたろうさんが手がけた『1秒24コマのぼくの人生』がマンガ大賞に輝きました。贈呈式の後には、人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で知られる漫画家の秋本治さんとともに手塚治虫さんへの思いを語りました。
【写真を見る】【第29回手塚治虫文化賞】84歳の盟友アニメーション監督・りんたろうがマンガ大賞 「手塚治虫は愛すべき存在」 手塚治虫との思い出を振り返る
「手塚治虫文化賞」は、日本のマンガ文化の発展、向上に大きな役割を果たした手塚治虫氏の業績を記念し、手塚氏の志を継いでマンガ文化の健全な発展に寄与することを目的に、朝日新聞社が1997年に創設。日本国内で刊行・発表されたマンガで、優れた成果をあげた作品および個人・団体に贈られます。
りんたろうさんは、虫プロダクションのTVシリーズ『鉄腕アトム』で演出家デビュー、監督作にTVシリーズ『宇宙海賊キャプテンハーロック』、映画『銀河鉄道999』など多数を手掛けています。今回マンガ大賞に輝いた『1秒24コマのぼくの人生』は、りんたろうさんの初の漫画作品であり、自伝的作品にして戦後日本アニメ史を描いたものです。
トークショーでりんたろうさんは、「鉄腕アトム」の制作について、‟全部大変だったのでどこから言えばいいのか…。あの時代は、ほとんどがブラック企業なので、僕らが20代、手塚さんが30代の若いメンバーで、目的はないけどブルドーザーで突っ込んでいくのが鉄腕アトムの最初でした。手塚さんは昼間に漫画の仕事をして、アニメーションの仕事は夜していた。手塚さんが夜に来て原画を描いたのを分業していた。それが一つの日本のアニメーションの最初のスタートだった” と明かしました。
さらに、‟最初は「ある街角の物語」の時は、虫プロダクションとしての収入はなくて” と話すと、‟30人くらいが手塚治虫の原稿料で食べていた。僕らは「これから先はいくら何でも手塚さんの原稿料で食べていくわけにはいかない」って思った時に、「テレビが面白いからテレビでやろう」ってなって、最終的に「鉄腕アトムをやろうってなった」” と、貴重な話を語ってくれました。
選考委員も務めた秋本さんは、‟毎週、アニメをやるっていう仕組みを作ったのは手塚先生” と、興奮気味に話すと、‟今回の作品(『1秒24コマのぼくの人生』)で手塚先生が東映からアニメーターをかっぱらってきたとか噂でしか知らなかったことが全部描いてあって、今までにそんな作品にはない。読んで感動して選考会でも熱く語って、「これが凄いことなんだ」って。今この作品が選ばれたのが縁だから推したいですとお話させていただいた” と、今回のマンガ大賞に選んだ理由を明かしました。
‟漫画の神様”として日本漫画史に残る漫画家・手塚治虫。そんな手塚さんを間近で見てきたりんたろうさんは、手塚さんについて ‟漫画の神様じゃない手塚治虫が大好きなんですよ。”と語り、‟いい加減で、やんちゃでヒステリックで、「誰も僕のいうことを聞いてくれない」って地団太を踏む手塚治虫を間近で見てきて、そういう手塚治虫が自分の中で残っている。音楽が好きで「ピアノを弾くからドラムで伴走してくれ」とか、社員旅行で旅館の浴衣を着てアコーディオンを弾いて踊っていた。マンガの神様ではない普通のおっさん。手塚治虫は愛すべき存在” と、熱弁しました。
【第29回手塚治虫文化賞】
マンガ大賞 りんたろう『1秒24コマのぼくの人生』(河出書房新社)
新生賞 城戸志保『どくだみの花咲くころ』(講談社)
「普通」からはみ出した子どもたちの関係性をエンタメとして力強く描く力量に対して
短編賞 榎本俊二『ザ・キンクス』(講談社)
特別賞 一般財団法人 横手市増田まんが美術財団 (大石卓〈おおいし・たかし〉代表理事)
30年にわたり、マンガ原画のアーカイブに尽力してきた業績に対して
【担当:芸能情報ステーション】
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