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「死んだ後だって働きたい」NY“駄菓子屋さん”働き続ける92歳に密着 ハンマーで殴られても店頭に立つ理由は…【news23】

海外
2025-07-26 14:32

“働き方のイマ”に注目する「work23」。ニューヨークの“駄菓子屋さん”で50年以上、お菓子を売る男性に密着しました。「仕事は人生」と語る92歳の働き方とは?


【写真で見る】「死んだ後だって働きたい」92歳の“駄菓子屋さん”


お客さんは家族同然 NYで51年の“駄菓子屋さん”

ニューヨークの繁華街にひっそりと佇む小さなお店「Ray's Candy store(レイズキャンディストア)」

「キャンディ・ストア」とは、クッキーやチョコレートなどのお菓子を売る店のこと。日本でいうところの“駄菓子屋さん”です。


オーナーのレイさんは、現在92歳。地元では知らない人がいない有名人です。中には、レイさん目当てでやってくるお客さんもいます。


レイさん(92)
「何にする?」


お客さん
「彼女はコーヒー。私はあなたの顔を見に来ただけ。彼女が『近所に来たらレイに会っていかないわけにはいかないでしょ』って」


レイさんが「キャンディ・ストア」を始めたのは1974年。当時、レイさんはイランの軍隊を抜け出して、アメリカに移住した“不法移民”でした。

売りに出されていたこの店に一目ぼれして以来、この道一筋51年。今も休むことなく、週7日働き続けています。

92歳になっても店に立ち続ける理由は――?


Q.この仕事の何が好き?


レイさん(92)
「人だよ。たくさんの人に会えるんだ。私が若いころは、みんな赤ちゃんだった。私は歳を取ったが、みんな大人になり、リスペクトしてくれる。みんなのおじいちゃんみたいな感じなんだ」


結婚したことのないレイさんにとって、お客さんは家族同然。子どもや孫のような存在です。


この店の名物は「フライド・オレオ」です。

「フライド・オレオ」は、おなじみの「オレオ」にホットケーキミックスをつけ、揚げるだけのシンプルなお菓子。


Q.美味しい「フライド・オレオ」を作るコツは?


レイさん(92)
「キレイな油を使うことが大事なんだ。油は毎日交換しているよ」


アメリカではよく知られる庶民的なおやつで、若い世代に人気だそうです。


お客さん
「今までで一番美味しいフライド・オレオ。最高」


「レイは真のアメリカ人」働き続ける92歳のオーナー

「Ray's Candy store」の営業時間は、朝9時から明け方の4時まで。

店の2階に住んでいるレイさんは、毎朝9時に店を開けた後、昼寝休憩を挟んで、深夜まで店頭に立ち続けます。


レイさん(92)
「(この店は)私の居場所であり、私の世界なんだ。もし店を失ったら、私はきっと落ち込んでしまう。この仕事が本当に大好きなんだよ」


人生のほとんどの時間をこの店で過ごすレイさんの趣味は、ラジオでニュースを聞くことです。

普段はお喋りなレイさん。このときだけはいつもより口数が少なくなります。


ラジオのニュース
「ガザ地区で援助物資を受け取ろうとした数十人のパレスチナ人が殺害されました。3つの事件で31人が死亡、200人以上が負傷しました」


アメリカでも故郷のイランを初め、中東の混乱が連日伝えられています。


レイさん(92)
「世界で何が起きてるか知るのが好きなんだ。中国・ロシア・アメリカ、みんな第三次世界大戦の準備をしてるってね」


移民として長年ニューヨークを生きてきたレイさん。つらい出来事も乗り越えてきました。

2023年1月の寒い朝、夜勤をしていたところ、店の前で突然、男にハンマーで殴られたのです。レイさんは、顔面骨折などの重傷を負いましたが、応急処置を受け、わずか数時間で店に戻ったそうです。


Q.なぜ働くのですか?


レイさん(92)
「労働は義務だ。お店を開いて、アイスクリームやフライドポテトを売る。みんなのために働かなくてはいけない」


常連たちは、「レイは真のアメリカ人」だと口を揃えます。


常連客
「ヒーローだよ。子どものころから店に来ているが、彼はまだ現役。レイは良いアメリカ人です。彼のような人がもっと必要です」


常連客
「僕が店に来ると、彼はいつも店にいる。朝でも夜でも常に働いている。仕事に対する姿勢が素晴らしい」


コロナで店が倒産の危機に…救ったのは“お客さんたち”

いつも繁盛しているキャンディストアですが、存続の危機も経験しました。

2022年、コロナ危機で客足が遠のく中で、「公共料金の高騰」と「インフレ」が直撃。家賃の支払いができなくなってしまったのです。


レイさん(92)
「商品の売値が安すぎた。何を売っても利益が出ない。でも、古いやり方が好きなんだ」


周囲からは値上げをすすめられたといいますが、レイさんは値段を据え置き、倒産の危機に…。


そんな状況を見かねたお客さんが始めたのが、「クラウドファンディング」です。すると、瞬く間に募金が殺到。約6万8000ドル、日本円で1000万円以上が集まりました。

今、お店は再び軌道に乗っています。


レイさん(92)
「すべてが面白い。お客さん・商売・アイスクリーム・お金・食べ物…面白いよ。これが私の人生。これがなければ人生はない。迷子だ。死んだ後だって働きたいくらいだよ」


レイさんが作る甘いお菓子は、今日もニューヨークの片隅で誰かを笑顔にしています。


「移民かどうかではなく、その街でどう生きるかが大切」

篠原梨菜キャスター:
レイさんの健康の秘訣は、「仲間とお菓子を食べること。大好物はアイスクリームだけど、最近太り気味だから控えている」ということです。

とってもチャーミングで、長年マンハッタンで、お店とレイさんが愛され続けているのもわかりますね。


上村彩子キャスター:
ニューヨークがどれだけ変わっても、自分のペースで働いて、人を迎え入れ続けるというのは、変化の中でも変わらないということの象徴でもあると思います。

今、アメリカは移民を敬遠するような空気が一部ではありますが、移民かどうかではなく、その街でどう生きるかが大切なのだと、レイさんの姿を見て改めて思いました。


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