
プロ野球は、いよいよ今週から日本シリーズ。今年もそのプロの世界に憧れ、挑む選手たちが、10月23日に行われるドラフト会議に臨む。明るいキャラクターとユーティリティーなプレースタイルで活躍した元北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士氏(34)が、独自の目線で選ぶ、今年のドラフト候補「イチオシ選手」5人を一人ずつ紹介する。(第5回/5回)
【写真を見る】【ドラフト】杉谷拳士氏のイチオシ 健大高崎・石垣元気は「別格」、武器の直球は「手元に砲丸が飛んでくる」と絶賛
現役引退後、プロアマ問わず、多くの選手に取材を行う杉谷氏。「高校・大学・社会人・独立リーグと、野球の幅が広がってきている中で、『どこからでもプロに行くチャンスがあるんだ』っていうことを、この記事を通じて、皆さんに知っていただければ」と語る杉谷氏の熱い気持ちから今回の企画が生まれた。仙台大・平川蓮外野手から始まり、NTT東日本・石井巧内野手、浦和学院・垣内凌外野手、四国IL高知・渡邉都斗投手と紹介してきたが、最終回の今回は今ドラフト最注目の一人、健大高崎高の石垣元気投手(18)だ。
杉谷氏が「日本人離れした身体のバネをしなやかに使った、最速158キロ右腕」と語る石垣は、健大高崎の主戦投手として、4回甲子園に出場。一躍注目を浴びた2年春の甲子園では、全5試合に登板し、初優勝に貢献。優勝候補に挙げられた今夏の甲子園は初戦でまさかの敗退となったものの、甲子園最速タイとなる155キロを計測し、「高校No.1投手」としての実力を見せた。
特に杉谷氏が石垣の投球で印象的だと語ったのは、石垣がU-18侍ジャパンの一員として出場した、U-18野球ワールドカップでの投球だ。「アメリカの選手を相手に、アウトコースのストレートがうなりを上げていた。1人だけ別格だったかなという印象です」と、この大会で自己最速に迫る157.9キロを計測した石垣の投球を絶賛した。
杉谷氏は石垣のもとに取材に行き、実際に打席で球を見たという。イチオシポイントを聞くと、「ストレートがとにかく武器。ホームベースを通過する時の球の強さが尋常じゃない。手元に砲丸が飛んできてるような力強いストレートが特徴です」と常時150キロ台を計測するストレートを絶賛した。さらに「打席に立って『怖さ』を感じた。投球フォームで足を上げた時くらいから、『あの真っすぐが来る!』と思ったら、怖さでかかと体重になってしまった」と数々のプロの投手と対戦してきた杉谷氏に、そう言わしめた。
取材した時のエピソードを聞くと、「『侍ジャパンで18番をつけたい』と話していた。背番号へのこだわり、『エース番号をつけたいんです』という負けず嫌いな一面が印象に残っている。またお茶目な一面も含めて、人間味溢れるところに好感を持ちました」とのこと。
石垣はドラフト1位が有力だが、気になる即戦力としての評価を聞いてみると、「今、プロの中に入っても、即通用するレベルのストレートは持っていると思うけど、1年間はまずプロの空気に慣れて、体力作りをして、1年目の後半に1軍でデビューといったイメージ。2年目で少し登板機会を増やして、後半からはもうチームの軸として投げてくれるのでは」と語った。「もう身体が完成されている選手なのかなと思ったけど、鍛え方によっては、伸びしろをまだまだ秘めてる、可能性に満ち溢れている選手」と直接取材をしたからこその見通しを話してくれた。
石垣が将来的はどんな選手になるかを聞くと、「体力をつけながらも、将来はもうチームのエース、そして日本のエース!2028年のロサンゼルス五輪で、アメリカの選手に向かって投げている。 2028年だから、石垣は20歳。でも、もう侍ジャパンに選ばれて、投げている。そんな選手なんじゃないかなと思っています」と大きな期待を寄せた。
「高校No.1投手」の石垣を何球団が1位指名するのか、どの球団が獲得するのか、運命のドラフトは10月23日に行われる。
連載の最後に、杉谷氏から全国の球児に熱いメッセージがあった。「今の野球界は、どこで誰が見ているかわからない。インターネット、SNSを通して、情報がたくさん出回ってるので、プロへ行くチャンスは確実に増えている。日本中でプロを目指している野球人は、最後の最後まで諦めないでもらいたい。ネバーギブアップ!」
■石垣元気(いしがき げんき)
2007年8月16日生まれ、18歳。180㎝78㎏。右投両打、投手。北海道出身
群馬・健大高崎では1年春からベンチ入り。2年春のセンバツで同校を初優勝に導くと、2年夏は甲子園2回戦敗退。今春は4強、夏も優勝候補に挙げられたが、初戦となる2回戦で敗退。U-18侍ジャパンに選出され、決勝でアメリカに0-2で敗れたものの、4回1/3を投げ、無安打1失点、157.9キロを計測した。
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